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周庭氏釈放の背景を考える

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「香港も、日本も本当の民主主義がありますように」なんていわれて黙っていられません!それでも、周庭さんの釈放は思いのほか早かったですね。今回はその背景を考えてみます。

 「 新華社通信は、中国共産党中央委員会政治局委員で中央外事委員会主任の楊潔篪氏が署名した6000字の記事を掲載し、中米は「歴史を尊重し、未来に向き合い、揺るぎなく中米関係を維持・安定させるべきだ」と述べた。 それは、中国と米国が引き続き流行病対策のための協力を強化し、「すべての分野で対話とコミュニケーションを行い、すべての分野で互恵的な協力を拡大する」ことを求めた。
 翌日には、常に戦時中の狼のような姿勢を見せてきた中国共産党外務省の華春英報道官も、「歴史を尊重し、未来を見据え、不動の中米関係を維持・安定させる」と英語でツイートした。
 米国が香港のキャリー・ラム・チェン・ユエット・ゴール首席秘書官ら11人に対する制裁措置を発表した後、中国の公式メディアの反応も異様に地味なものとなった
 8日夜に放送されたCCTVのニュースには、90秒の長さのレポートが1本だけ登場した。 同じく中国共産党の公式メディアである人民日報は、9日付の3面の余白で「香港社会の全部門」を使って、米国制裁に対する「強い非難」を表明したにとどまった。 これは、昨年11月に米上院が香港人権・民主主義法を可決した後、報道連が発表した12の報道とは全く対照的だ。」

北戴河会议夭折?倒习派大胜? 决议向美国认怂?高官如履薄冰 中共军事AI狂奔?习近平心颤 - 禁闻网

つまりは、共産党高官に対する直接制裁が意外なほど効いているということなのでしょう。我々が感変えている以上に中協幹部はびびっているという事です。もし釈放しなければ、中協幹部だけでなく、香港ドルの取引停止など、香港にとって致命傷となりうる制裁はいくらでも、いつでも実行出来る事が中国にもようやく理解出来たのでしょう。だからこそ、いまになって、アメリカに仲良くしましょうと下手に出ているのです。しかし、こうした中国の戦略は以前に紹介したマオチャン・ユーによって見破られています。彼は共産中国が国民党政権と戦い台湾に追い出すまでに、アメリカの情報機関であったOSSをどう籠絡したのかを研究してきた研究者なのですよ。ですから、中国の敵を籠絡する手法については精通していると言えます。だから、中共サイドは従来の戦略や殺し文句が通用しないので焦っているのです。あせっているのですが、それ以外に手段を思いつかないので、既にアメリカに看破された戦略をずるずると続けることになっています。ですから、アメリカのメディアが騒ぐだけで、中国には響くのです。そして、個人攻撃のような実際に実害の出る制裁は、「強い非難」を行う意思すらも砕いたと言えそうです。

実際、米国議会は反米で意見が一致しています。

「 香港市民の人権保護を目指す超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」が12日、香港警察が民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏らを国家安全維持法(国安法)違反の疑いで逮捕したことについて、緊急の抗議声明をまとめた。
 声明では、香港当局が市民や報道機関に圧力をかけ、思想や報道の自由基本的人権を蹂躙(じゅうりん)する行為は許されるものではないとして、中国共産党および香港政府に強く抗議。「一国二制度」の原則に基づき、香港市民の自治と自由を守る義務を果たすことを求めた。
 日本政府に対しては、中国・香港政府からの国安法に基づく捜査共助には応じないことを求め、日本への入国を希望する人に対し、就労ビザの緩和など受け入れ態勢の強化も求めた。

香港の周庭氏ら逮捕は「人権の蹂躙」-超党派議連が中国に抗議声明 - Bloomberg

 ですから、米国議会はもうできあがっていると言うべきでしょう。あとは何が鳥羽美出すか、お楽しみと言ったところです。

 もうすこし付け加えるならば、今回の早急に周庭氏が釈放されたのは、中国共産党の対米スタンスが決定しているからと言う事情もありそうです。

「 北戴河会談は米中関係維持のための基調であり、当局者は薄氷の上を歩くようにお互いを避けている
 北戴河での中国共産党会議の多感な時期に、第19回全国代表大会の幹部人事への影響が懸念されている。 海外メディアの分析によると、孫正財氏の失脚で中国共産党の上層部の権力構造が変化した一方で、第19回全国大会で習近平氏が強力に指導することで、既存の政治部常任委員会が再編成され、意思決定集団へと変貌する可能性が高いという。 また、北戴河で中国共産党高官を訪問した河北学者の楊氏は、近年、引退した高官は人を怒らせることを恐れて北戴河での発言に慎重になっていると指摘し、「大臣、中国科学院院長、深セン市党委員会書記がいて、彼らと話したとき、基本的にどの家庭でも顔を合わせない、練習のために会うこともないと聞いた」と述べているという。 一緒に歩いていると、この家族はその家族が来るのを見て、時には直接の接触を避けなければならないこともあります。"
 60年以上で最も短い共産党の会議と言われ、伝染病との戦いに悩まされた多くの役人が北戴河への渡航を見送った。
 事情を知る海外筋によると、北載河では中国共産党幹部が主に国内の経済状況や米中関係の発展について話し合った。 幹部は、中米関係が中国の外交政策の成功の鍵を握っていると考えている。"北大河会議の最終決定は、米国との関係を真剣に実行・維持し、中米関係を軌道に乗せることだった。"
 楊氏はまた、近年、中央事務局が手配した北戴河会議は非常に厳しく管理されており、外部から言われることは希望的観測であるとし、「北戴河での会議や活動はすべて組織が手配しており、組織の範囲外の活動はすべて組織自身が慎重に自検している」と述べた。 ただ、今回はあまりにも地味なので、プライベートではいろいろな意見が出てくると思いますが、それが北大河に集まってくるかどうかは、特に可能性は高くないですね。"
 中国の学者であるクォン氏は、北戴河会談に関する様々な憶測は、中国共産党の権力の変化を望む多くの人々の結果であると述べた。」

 これから判断する限り、今年の北載河会議では人数も集まらず、党の長老も互いに拘留することを避け、今後習近平一党独裁体制が更に強化されることが既定路線のようです。その上で、対米関係の改善に全力を注ぐという方向性が見えてきます。ただ、対米は宥和であっても、それ以外の対日対印などの関係は、特に領土問題等を巡り、さらに悪化することが予想されます。ですから、中共内部が崩壊するかもという大紀元の報道のスタンスはいかがなものかと思いますよ。