FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

ドイツ自動車業界の崩壊

自動車誌MOOK 世界の自動車オールアルバム 2019年

今年は中国肺炎の影響もあり増すが、それ以前にドイツ経済没落の雰囲気が漂っています。

 「クリスティン・シュミット、トーマス・シュミット夫妻が昨年夏、ローンを利用して自宅を購入したとき、2人の夢は実現しつつあるように思えた。だが2カ月後、夫妻が働くタイヤ工場が翌年早々に閉鎖されることが分かった。

ドイツの強力な自動車産業は、海外需要の低迷、排ガス規制の強化、電気自動車の台頭による不振に悩まされており、失業率の上昇、雇用の不安定化、賃金への悪影響という形で、欧州随一の経済大国であるドイツへのダメージが広がり始めている

40歳のクリスティンさんは、ドイツ国内における自動車部品産業の中心地の1つ、バイエルン州バンベルク郡の工場閉鎖について、「悪夢だった。いきなり足元をすくわれるような感じだ」と語った。

シュミット夫妻には3人の子どもがおり、ミシュラン保有するタイヤ工場の幹部たちが工場閉鎖を再考してくれることを今も期待しているが、失業のリスクは忍び寄っている。そしてこれは、シュミット夫妻だけの問題ではない。

業界団体VDAによれば、ドイツの自動車セクターは今後10年間で83万人の雇用のうち10分の1近くを削減すると見られる。

シンクタンクや政府当局者の間では、ガソリン/ディーゼルエンジン車に比べて組立工程の少ない電気自動車の増加、単純作業の自動化、企業の海外への生産移転により、状況はさらに厳しくなるのではないかとの懸念が広がっている

1970年代、米国自動車産業の中枢であるデトロイトでは、工場移転、低価格の輸入車、燃料価格の上昇によって雇用が激減し、都市の衰退が見られたが、ドイツではまだそこまでは至っていない

だが、自動車メーカー、地域の有力者、労働組合リーダーはロイターの取材に対し、そうした危険は高まりつつあると語った。

企業によって、対応は異なる。シュミット夫妻が働くハルシュタット市の工場では、労働者らが強制的レイオフを回避しようと努力している。近隣のバンベルク市にあるボッシュの工場では、賃金カットと労働時間の短縮、さらには新たな燃料電池テクノロジーへの投資に関して合意が得られた。

ドイツ南部、バイエルン、バーデン・ビュルテンブルク両州で自動車生産の中心地として繁栄する地域で、局地的に失業率が上昇していることは、ドイツにとって深刻な意味を持っている。この国は、経済生産の5%を自動車産業に依存しており、同産業は国家としてのアイデンティティの重要な一部にもなっているからだ。

「ドイツは未知の水域へと入りつつある。この変化が、大規模雇用主としての自動車産業の黄金時代の終わりを告げるとしても不思議はない」と語るのは、ドイツの研究機関センター、オブ・オートモティブ・マネジメントの責任者ステファン・ブラツェル氏。

「政界にとっては、作動中の時限爆弾だ」

新型コロナウイルスの感染拡大によってグローバルなサプライチェーンが混乱し、ドイツ自動車メーカーにとって大切な市場である中国における乗用車販売が落ち込むことで、危機はさらに深まっている。

大量レイオフの脅威は、これから始まる金属加工産業の賃金交渉にも重大な影響を及ぼすだろう。同産業では、労働組合が賃金上昇よりも雇用確保に重点を置いている。

ドイツ最大の自動車部品メーカーであるロバート・ボッシュのフォルクマール・デンナー最高経営責任者(CEO)は、1月、利益急減への対応として大幅な人員削減と事業見直しを発表した際、「自動車生産のピークがすでに過ぎていた可能性は大いにある」と述べた。」

焦点:ドイツ自動車産業、デトロイトの二の舞か 栄光は過去に - ロイター

日本のトヨタもテスラに株価の総額で敗北しましたが、ドイツの自動車業界もかなり危ない状況にあることは明白でしょう。というか、これからずぶずぶ沈んでいくのでしょう。2020年はドイツ沈没が始まる年となるでしょう。これでメルケル首相が退陣すれば、それこそドイツの終わりでしょう。