中国向けで、どんどん赤字
とにかく赤字、どんどん赤字です。
「「中国の市況は期初(4月)の想定を超えるレベルで悪化している。年間を通じて復活するのは難しいとみている」
自動車や半導体工場向けの制御機器を手がけるオムロンの井垣勉執行役員は、7月下旬の決算会見で中国経済の先行きに関して厳しい見方を示した。
同社の4~6月期の最終利益は前年同期比で41・8%減の85億円。本業のもうけを示す営業利益も41・2%減の100億円だった。中国で企業の設備投資が伸び悩み、主力の制御機器事業の営業利益が22・1%減となるなど苦戦した。
「半導体関連の需要が昨年から大幅に落ちた。今期(令和2年3月期)はもう回復しないだろう」
京セラの谷本秀夫社長は米中貿易摩擦の影響をこう嘆いた。同社は自動車や半導体製造装置向けの部品の販売が振るわず、最終利益が24・2%減の320億円にとどまった。
電子部品各社の業績は近年、中国市場の旺盛な設備投資や個人消費に支えられてきた。ところが昨秋以降、米中貿易摩擦に伴う中国景気の減速が各社の業績を直撃。
当初は中国市況について「令和元年4~6月期には回復する」との楽観的な見方もあったが、実 際は悪化の一途をたどり、悲観論が強まってきた。
7月に発表された中国の2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、1~3月期から0・2ポイント縮小。前年同期比6・2%増だったが、リーマン・ショック直後の09年1~3月期を下回り、四半期ベースで1992年以降で最低だった。長期化する米国との貿易摩擦が、成長の勢いを削ぎ、足元で日本メーカーの業績にも響いてきた。
アルプスアルパインは4~6月期の連結決算で増収を確保したものの、車載向け部品の販売が減少するなどして最終損益で11億円の赤字(前年同期は38億円の黒字)に転落した。ロームもカーナビや制御機器関連の部品の販売不振が響き、最終利益が59・3%減に落ち込んだ。
不振にあえぐ各社を尻目に増収増益を確保したのが村田製作所だ。最終利益は前年同期比20・1%増の468億円。世界首位のシェアを誇る積層セラミックコンデンサー(MLCC)で値上げが浸透したことに加え、利益率の高い車載向けの販売が大幅に伸びたことが業績を牽(けん)引(いん)した。
それでも、7~9月期以降の事業環境については慎重な姿勢を崩しておらず、最終利益で17・8%減を見込む通期の業績予想を据え置いたままだ。竹村善人取締役は7月末の決算会見で、米国による対中追加関税「第4弾」の発動への警戒感を示し、「インパクトを注視していく」と述べた。
目下、部品業界が頼りにしているのは中国が普及に力を入れる電気自動車(EV)向けの部品需要。日本電産の令和元年4~6月期の営業利益は38・8%減となったが、永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、中国でのEV向けの駆動モーターの受注は急増しているとし、生産を強化する構えだ。
ただ世界経済に垂れ込める暗雲は濃くなっている。トランプ米政権は今月5日、中国が人民元相場を安く誘導しているとし、制裁対象となる「為替操作国」に認定した。米中の対立はついに為替政策にまでおよび、新局面に突入した。日本企業にとって、米中の対立問題は、韓国への輸出管理の厳格化の影響に比べてはるかに大きい。新興国を巻き込む通貨の攻防は、企業の経営戦略を揺さぶりかねない。」
中国経済「想定超の悪化」京セラ、オムロンに悲観論 堅調の村田製作所も警戒 (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
少なくとも、経済面では、韓国がこの世から消滅しても、あまり問題がないのですが、中国の消滅は大問題です。中国の景気の減速は、これらの企業の決算を見れば明らかであり、あと2週間ほどすれば、中国経済減速を示す報道が多くみられることでしょう。
要因の一つに挙げられているのが、米中貿易戦争ですが、それも要因の一つにすぎません。これまで、中国が存分に経済成長に取り組めたのは、アメリカの黙認がありました。しかし、これ以上の経済成長をアメリカが問題視する以上、中国経済は何がなくても減速を強いられるわけです。
しかし、それ以上に根深い問題は、相当高くまで積みあがった不良債権の処理には、一度経済を破裂させるしかないということです。中国共産党としては、望まない方向なのでしょうが、それでも、経常収支が減少して赤字になれば、膨れ上がった風船はしぼむしかありません。あとは、どのように、バブルを解消していくかということなのでしょうが、今となっては、まったく無策であるように見えます。というか、まったく対策を立てていないのです。景気が減速すれば、ひたすらセメントと鉄鋼の増産をはかり、箱モノをひたすら製造するしか、目先の危機を回避することができなくなっています。ことしもそうで、春の春節以来落ち込んでいた景気がしばらく復活したように見えていたのは、中国の景気対策にありました。ただ、中国国内の不動産は飽和状態にあり、しかも、政府の指導で価格を下げることができないので、いつバブルが崩壊してもおかしくありません。
海外の中国向け企業の赤字が、多方面で意識されるようになれば、その時は恐ろしいほどの人民元の下落を導くかもしれませんね。