マーケットがまだ織り込んでいないこと
フリーマントルとは、オーストラリア西部の都市ですが、オーストラリアといえば先週は大変な事件が起きていました。
先週というか、12月13日から、豪ドルが3.2円も下落しているのです。この程度の値動きであれば普通なのですが、今回の違いは、アメリカのダウやナスダックも相当下落していることです。
これは、リセッションが始まっていると解釈してもよいのではないでしょうか。そこで気になるのが、中国の経済減速です。
中国経済に関しては、ニッセイの分析をよく参照しているのですが、それによると次の通りでした。
「景気10指標を点検すると、需要面の3指標に関しては、小売売上高は3ヵ月連続で“×”となり減速傾向が鮮明、輸出は11月に“×”に転じ、固定資産投資は3ヵ月連続で“○”となり持ち直してきた。供給面の3指標に関しては、工業生産が11月に“×”に転じたのに加えて、製造業PMIは6ヵ月連続で“×”、非製造業PMIも5ヵ月連続で“×”と、悪化が顕著である。その他の景気指標(電力消費量、道路貨物輸送量、工業生産者出荷価格、通貨供給量)をみると、11月は4つが揃って“×”となった。以上を“○=1点”、“×=0点”として集計した景気評価点は1点となり、景気悪化のウォーニングを発信している。」
「中国経済に関する「景気インデックス」を新たに開発した。工業生産、サービス業生産、製造業PMIの3つを合成加工したもので、「月次の景気指標の動きを経済成長率に換算するとどの程度か」を表示する形式とした。その推移をみると(下右図)、おおむね6%台後半で推移していた「景気インデックス」は、18年5月(6.83%)を直近ピークに低下し始め、9月には6.47%と「6.5%」を下回り、10月は6.41%、11月は6.38%と低下傾向が続いている。」
ニッセイの三尾幸吉郎氏は、実証的な研究をされている方で今回のデータは信頼に値するものだと思います。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=60410?site=nli
問題は、この中国経済の原則を現在のアメリカ市場や日本市場がどの程度まで織り込んでいるのかということです。結論から言えば、まだそれほど織り込まれていないのではないでしょうか。それは、日本経済新聞の全体の論調から見てもわかります。まだチャイナショックに対する懸念が少ないように見えるのです。
しばしば言及されることですが、新興国市場からマーケットは崩れていくので、その一端が先日の豪ドルの下落であったと考えれば、納得がいくのです。
今後の見通しとしても、年明けからさらに下落幅が大きくなると予想されます。リーマンショックの時には、週をまたぐだけで5円程度下落していました。今回もそうならないとは言えないでしょう。