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カタールがOPECを離脱する理由

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 そういえば、カタール航空はサービスがよかった記憶があります。今はどうなんでしょうね。サウジアラビアによるジャーナリストのカショギ氏殺害は、想像以上に影響が大きかったといえるでしょう。

 「 カタールは、来年の1月1日に、60年近く加盟国であった石油輸出国機構OPEC)から離脱すると発表した。これは、エネルギー市場にとっては、不快なニュースであるが、オペレーションの面と政治面の2つのレベルで理解することが可能である。
 「ガター」から「ギター」まで、さまざまに発音されているカタールは、エネルギーと外交政策の点では戦略的地位を維持している。カタールは、コネチカットよりも小さい半島にあり、サウジアラビアとユナイテッドアラ首長国連邦とのみ陸続きとなっている。
 カタール約35万人のカタールで構成されているが、そこに、大学都市の国際的な学者から2022年のワールドカップ会場を建設する臨時の労働者まで、200万人の外国人が加わる。エネルギー収入は、国民1人当たり660,000ドルの国民総生産をもたらしている。
 カタールは米国と決定的であると同時に複雑な関係を抱えている。カタールには米国の主要な海軍基地がある。しかし、元国務長官のレックス・ティラーソンの言葉を借りれば、「行動主義から暴力行為に至る様々な政治的表現を紡ぎだす」グループを支援しているという理由で、アメリカからは批判されている。カタールは、アルジャジーラテレビに資金を拠出しているが、アルジャジーラは、米国政策にしばしば手厳しく批判している。
 カタールはロシアとイランについで、世界第3位の天然ガス埋蔵量を誇っている。カタールはイランと巨大なガス田を共有している。カタールはそれをノース・ドームと呼んでいる。イランは南パルス(パルスはペルシャを指す)と呼んでいる。
 OPECは石油生産に影響を及ぼすが、天然ガスには影響が及ばない。長年に渡って、カタールは、しばしばOPECのコミットメントを一貫して遵守しない厄介な国のグループに属していた。最近、OPECはアフリカの新たな産油国が加わったために加盟国数が増えた。
 さらに、サウジの指導の下、OPECは、OPECメンバーではないロシアとの調整を通じてその有効性を拡大してきた。しかし、日産60万バレルの石油生産量を誇るカタールは、OPEC内部では10番目、世界では17番目の産油国である。
 それでは、なぜカタールOPECを離脱するのだろうか?市場を双方向に動かすことで恩恵を受けると思われるカタールよりも小規模なプレイヤーがいる。
 カタールOPECからの離脱の答えは、隣国との関係にある。カタールはイランと比較的穏やかな関係にあり、その巨大なガス田を共有している。
 しかし、昨年12月、カタールはいくつかのアラブ諸国カタールに対して外交的、経済的断交措置を課し、アラブ首長国連邦サウジアラビアは、カタールアラブ諸国の地域ライバルであるイランとの関係があまりにも親密であると非難した
 これらの要因は、カタールを敵対的な隣人であるイランの配下に置くことになったカタールは、経済に影響を与えるいくつかの激しいシナリオにもかかわらず、カタールは、資源に富み抵抗力があることが実証された。それは、自国の富をコストがかさむ陸路ではなく空路と海路で物産を輸入することに振り向けたためである。
 その結果、カタールOPECのメンバーシップを継続することで多くの利益を得ることができなくなった。カタールは、自らの選択で、生産を調整するさいに自己の利益に依存し続けることができる。
 最後に、サウジのジャーナリストであったジャマル・カショギを殺したことで、サウジアラビアとその近隣諸国との絶え間ない複雑な関係に新たな問題が生じた。カショギの死によって、サウジ王国とイランの間の代理戦として多くの人に見られるイエメンの戦争が強調されることになった。また、サウジアラビアカタールへの関与も関心を集めつつある。
 OPECから撤退することによって、カタールはサウジ覇権からの独立を宣言したのである。」

Qatar signals big break from Saudis by leaving OPEC | TheHill

 結局、サウジアラビアを中心としたイラン包囲網というアメリカとイスラエルの構想は、カタールを阻害したことで、その一角が崩れつつあるということです。カタールへの断行は、アラブ首長国連邦の主導により実現しました。これは、近隣の豊かな国家への妬みや嫉み、それにおそらくはOPEC内での劣等感にも原因があったと考えられます。しかし、いざ、カタールがサウジの影響圏から外れてしまえば、スンニ派勢力は両国の間で分断されることになります。最も大きな影響を受けるのが、イスラム過激派勢力で、今後、サウジやカタール国内でのテロの頻発が予想されます。

 以前にも述べましたが、カショギ氏の殺人事件で、最も利益を得たのが、このカタールとトルコであったといえます。とはいえ、原油価格という面では、今後下げ圧力がかかることが予想されます。しかし、その一方で、サウジによるカタール侵略という可能性にも頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。