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中東の盟主

彼女はワロスの盟主さま はじめての天下逃一 (電撃文庫)

 どんな世界でも誰がトップになるのかは気になるところで。

  中東の盟主がどの国かという問題があります。イスラム圏ということであれば、サウジアラビアかイランということになるのですが(あえて付け加えるならば金回りのいいカタールでしょうか、アルジャジーラという放送局も持っている)、国家としての実力では、トルコか、エジプトかという選択肢もあります。エジプトはかつてはイスラエルの猛攻すらしのいだという軍事力があり、アメリカと対等に議論ができるという外交力もあります。しかも基本は軍事政権なので、イスラム原理主義とも無縁です。
 トルコに関して言えば、小アジアという中東の中でも要衝の場所にあり、NATOの加盟国でもあります。その一方で、ロシアとの関係も緊密であり、エルドアン大統領は、オスマントルコの再興を夢見ています
 そこでリビアの現状が問題になるのです。現在リビアにはシラージュ暫定政権というのが、トリポリにあり、もう一つはシルトを本拠にするリビア国民軍です。
 このうちリビア国民軍を支持しているのがエジプトで、暫定政権を支持しているのがトルコです。エジプトのシシ大統領が6月20日、隣国リビアの暫定政権に対し、軍事介入も辞さないと警告したのは、実は昨年からリビア国民軍がトリポリ近くまで攻勢をかけていたのに、トルコの支援を受けた暫定政権側が反撃しているためです。暫定政権側は今月に入ってからシルトにまで攻勢を仕掛けているようです。
 まあ、代理戦争となっています。しかし、いろいろな勢力が両勢力を支援しています。暫定政権にトルコやカタールなど、LNAにロシア、エジプト、アラブ首長国連邦UAEなどがそれぞれ付く構図となっています。サウジの姿が見受けられませんが、そこは親友のアラブ首長国連邦がちゃっかりリビア国民軍の側にいますね。そしてサウジとはきわめて仲の悪いカタールが暫定政権を支持するのは当然のことでしょうか。トルコは東地中海の資源を巡って自国に有利な排他的経済水域EEZ)の境界で合意した暫定政権を軍事面で支えています。これに対しロシアはLNAを支援するため傭兵(ようへい)部隊を派遣しているとみられています。ちなみに国連が認める正統政権は暫定政権の方です。旧宗主国であったフランスは、表向きは暫定政権支持ですが、国民軍の方にも未練があるようです。
 さてその内戦の行方ですが、トルコの支援を受けた暫定政権側は、リビア国民軍と交渉する意思を見せていません。このことにエジプトもいら立っているのでしょう。なぜこのようにもめるかといえば、すべてはリビアで産出される原油をだれが握るのかという問題があります。ですからなかなかうまい解決は見つけられなさそうです。