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ともに地獄に落ちる、ドイツ銀行、プーチン、ダンスケ銀行。

マネーロンダリング―国境を越えた闇金融ヤクザ資金 (新潮文庫)

 まず、ダンスケ銀行のマネロンです。

  「デンマーク最大のダンスケ銀行で、8年間で総額2000億ユーロ(約26兆円)もの巨額の資金洗浄マネーロンダリング)が行われていたという底なしのスキャンダルは、デンマークや同銀行の評判を失墜させた。
 それだけではない。プーチン大統領のロシアに巣食う組織化された汚職の実態と、同大統領が直面する政治的困難をもあらわにした
 資金は、旧ソ連圏にあるダンスケ銀エストニア支店を経由してロシアから流出していた。ダンスケ銀を巡る捜査は、内部告発者のハワード・ウィルキンソン氏が欧州議会デンマーク議会で証言し、改めて注目を集めている。
 同行のバルト諸国におけるトレード部門責任者を務めていたウィルキンソン氏は19日、デンマーク議会で証言し、他の複数の大手行が疑わしい取引に関与していたと述べた。
 しかしこのスキャンダルは、金融面だけでなく政治面にも同じくらい大きな教訓をもたらすだろう。
 大富豪のオリガルヒ(新興財閥)にとどまらない多くのロシア人がエストニアを経由してマネロンを行っていた事実は、多くのロシア企業や低賃金の官僚にとって、マネロンが生存スキルの一部となっている実態を浮き彫りにした。腐った秩序の中に閉じ込められた個人にとって、西側への資金飛ばしが「安全弁」となっていることを認識しているプーチン氏は、本気でこうした流れを止めようとはしていない
 しかし、ロシア経済が低迷し、マネロン隠しが難しくなるなか、そのような態度でいられる時間はなくなりつつある。
 ダンスケ銀の発表によると、「非居住者」の顧客1万5000人が絡んだマネロンは、主にロシア市場が対象だった。その手口は、ロシアのリテールや法人顧客向けに1992年に設立された2つのエストニア支店で、資金をルーブルから別の通貨に両替し、第3国に送金するというものだった。近年では、ダンスケ銀のエストニア事業の税引き前利益のほぼ9割が、こうした顧客の送金や両替の取引から来ていた。
 エストニアの銀行取引は、より大きな問題の一角でしかない。
 ダンスケ銀の報告書によると、同行のエストニアにおける顧客のうち177人が、モルドバの仲介者を通じてロシアから資金を転送するマネロン集団の一味として過去に名指しされたことがあるロシア人だった。この集団の顧客は、ダンスケ銀エストニア支店の大多数の非居住者顧客と同様、英国や、べリーズや英領バージン諸島のような租税回避地に登録された法人だった。
 2000億ユーロは途方もない金額だが、ロシア富裕層が国外に保有しているとみられる8000億ドル(約90兆円)のほんの一部でしかない。この額は、ロシアの全世帯が現在保有している資産の合計とほぼ同額だ。
 この巨大な資金のほとんどが、プーチン政権時代にロシアから秘密裏に移転されたものだ。マネロンが、時折が行われる犯罪ではなく、経済システムの欠かせない一部になっていることの証左といえるだろう。(以下略)」

コラム:マネロンで26兆円国外流出か、プーチン氏の内憂外患 | ロイター

 ロシアでマネロンといえば、これまではキプロスが有名でしたが、デフォルトになりこの経路は使えなくなっていました。それが、デンマークの銀行のリトアニア支店を利用していたというわけです。
 マネロンは表の経済には属さないとはいえ、ロシアが今後ますます追い詰められることには変わりがありません。
 このロシアマネロン疑惑にドイツ銀行が関与しているとなると、事件は一層興味深いものになります。
資金洗浄疑惑についてダンスケ銀行を内部告発したハワード・ウィルキンソン氏は、資金洗浄が疑われる2300億ドル(約26兆円)の半分余りがドイツ銀行の米国部門を経由したとの試算を示した。同氏は金融機関の名を明らかにしなかったものの、事情に詳しい関係者はドイツ銀だと確認した。ウィルキンソン氏は19日、デンマークの議会で、ダンスケ銀から口止め料の提示があったと証言した。ダンスケ銀に資金洗浄疑惑が浮上して以降、ウィルキンソン氏が公の場に姿を現したのはこれが初めて。
 ドイツ銀は、疑惑の渦中にあるダンスケ銀エストニア部門のコルレス銀行を務めていた。ダンスケ銀は同部門が2500億ドル近くを国際金融システムに送金し、その大半がロシアでの違法活動による資金だった可能性があることを認めた。同行は2007年から15年まで、顧客の外貨をドルに両替する際にグローバルなプレゼンスのあるドイツ銀とバンク・オブ・アメリカ(BofA)、JPモルガン・チェースを利用していた。
 ウィルキンソン氏は問題のコルレス銀について、「ドルに関する主要なコルレス銀行だった」と欧州の大手銀行とだけ述べ、名指しは避けた。「最後まで残っていたコルレス銀行であり、2015年まで少なくとも9年間関係していた」と加えた。ドイツ銀はコメントを控えた。」

ドイツ銀関与の疑惑浮上、ダンスケ銀の資金洗浄問題で-関係者 - Bloomberg

 その一方で、ドイツ銀行の株価が下げが留まるところを知りません。経営陣の入れ替えや低調な業績、イタリアとトルコの政治混乱など懸念材料が相次いでいたためでもありますが、今回のマネロン疑惑は致命傷になりかねません。
 アメリカや英国は、金融でドイツを潰し、ロシアを潰しということを検討しているのかも知れません。