ピント外れな中国
以前のエントリーで、習近平が王岐山を中心に対米外交を再建しようとしていることはお伝えしました。しかし、トランプの本機を理解していないのではないかという疑問を持たざる得ないのです。
ロイターからです。
「中国国営紙の環球時報は22日付の社説で、中国は台湾を巡り軍事行動を準備し、また北朝鮮を巡る協力で米国に圧力をかけるべきだと指摘した。
トランプ米大統領は先週、米政府当局者が台湾当局者と会談するために台湾に渡航することを可能にする法律に署名。中国は強く反対していた。
環球時報は、中国がこの法律に対抗すべきだと指摘。「中国は他の二国間協力の分野で米国に圧力を加えることが可能」だとし、朝鮮半島問題やイラン核問題を例に挙げた。国連などの国際機関で米国への反対姿勢を表明することもできるとした。
また同紙は、中国が「台湾海峡での直接的な軍事衝突に備える必要がある。米台当局者の交流増加が、台湾に深刻な結果をもたらすということを明確に示す必要がある」と訴えた。
同紙は、中国が「台湾海峡の中心線に軍機や軍艦を派遣することが可能」だとの見解を示し、状況に応じ段階的に実施できるとした。」
台湾に対する軍事行動が先日の台湾海峡への遼寧の派遣でした。それに加えて、北朝鮮に関する協力を挙げていますが、事実上、現在の中国と北朝鮮はあまり良い関係を築いているとは言えません。北朝鮮に対する発言権も限られているのです。北朝鮮に対する制裁強化が関の山です。ですから、中国側は圧倒的にカードが少ないのです。
それに対して、アメリカは、先日の台湾旅行法に加え次々と手を打っています。その一つが中国に対する報復的関税の設定です。現在のところ、米企業からの窃盗と、米企業に対する知的財産の開示強要のほか、中国政府系ファンドによる技術知識狙いの米企業買収に対する対応が検討されています。特にアメリカが問題視しているのが、中国での合弁事業が外国企業に技術移転を実質的に義務付けていること、さらには、中国国有企業が米国のテクノロジー企業を買収することで知的財産を手に入れる動きをみせていることです。
ムニューシン財務長官は、中国とはいつでも交渉に応じるという姿勢を崩していませんが、安全保障問題に加え、こうした経済の不均衡を同時に解決するのは非常に困難です。北朝鮮問題が峠を越した(ように見える)現在、今後、アメリカは中国に対する挑戦的な姿勢をさらに強めることになるでしょう。