トルコよどこに行く
トルコ軍は現在「オリーブの枝」作戦を実施中です。これは、シリア領内のクルド人勢力を粉砕することが目的です。トルコの公式サイトでも、
「「オリーブの枝作戦」の24日目にトルコ軍と自由シリア軍は、アフリン西部の町ジンデレスに属するムハンメディエ村とアマラ丘陵をテロ組織PKKとPYDから解放した。
トルコ軍とその作戦を支援する自由シリア軍は、作戦開始日の1月20日から現在まで、テロ組織PKKとPYDの占領下にあるアフリンの5つの町と町の中心地1か所、33の村、3つの集落、14の戦略的な山または丘陵を含む51の拠点をテロ組織から解放した。」
【シリア・アフリン オリーブの枝作戦】 トルコ軍、さらにもう1つの村を解放 | TRT 日本語 (写真はTRTのサイトより)
とありますので、作戦が相当進捗していることが窺えます。ただ、問題はアメリカがイスラム国討伐のためにクルド人勢力を利用してきたということなのです。しかも、アメリカはイラクのキルクーク周辺へのクルド人自治国の設立を認めませんでした。イラン系の民兵がエイブラムスを使って撃退したのは、まさにこのクルド人勢力であったのです。現在のイラクは実質上イランの勢力圏ですから仕方がないのですが。
このままトルコの行動を放任していれば、シリアとトルコの間の紛争に転化する可能性があります。
そこでトルコとアメリカの関係が悪化しているのです。
「イスラム国に対する戦いをクルド人勢力の占領を正当化する口実としているとしてトルコはシリアにおける米軍を非難している。ティラーソン国務長官は今週末アンカラを訪問する予定だ。
トルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相は、月曜日に、アメリカ・トルコ間の関係は「危機的な状況」にあり、ワシントンはアンカラの信頼を得るために「具体的な手段を」採用する必要があると警告している。
「我々の関係は非常に危機的な状況にある」とチャヴシュオール外相は、イスタンブールのテレビでコメントした。「両国関係が改善するか、全く決裂するかいずれかだ」
先月トルコは、北部シリアにおける西部の
先月、トルコがシリア北部のアフリン西部にあるシリアクルド人民保護ユニット(YPG)民兵に対して軍事攻撃を開始した後、NATO同盟国間の緊張が高まった。
トルコは、トルコで戦っているクルド人武装勢力との関係で、YPGをテロ組織と見なしているが、米国はクルドの民兵を「イスラム国家」との戦いで支援してきた。
また、チャヴシュオール外相は、クルド人民兵との協力の継続を正当化するために、イスラム国の小規模な拠点を放置していると主張している。
また、YPPGに選挙されたマンビジの街から米軍を移動させるように求めている。というのも、トルコはアフリン東部の街に対して攻勢を拡大すると脅しているためだ。
その一方で、ティラーソン国務長官は今週末、緊張を和らげるためアンカラに向かう予定だ。
チャヴシュオール外相は、崩れた信頼を再構築する議論を行うと述べている。
「これまで我々が共有してきた開かれたそして明白な期待を我々は抱いている。」とチャヴシュオール外相は述べた。「我々は約束は求めていない。我々は執られるべき具体的なステップを必要としている」
Turkey: Relations with US at make-or-break point | News | DW | 12.02.2018
トルコによる越境軍事作戦が拡大すれば、シリア民主軍とトルコ軍部隊が衝突し、米国主導によるIS掃討の足並みが大きく乱れる恐れがあります。また、トルコとの対立が深まれば、トルコがアメリカや西側諸国から一層距離を取り、シリアのアサド政権を支援するロシアやイランに接近し、シリア情勢で米国の影響力が一気に低下する結果を招きかねません。
トルコとアメリカの関係が維持できるかが、今後の鍵となりそうです。