FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

アメリカも期待する安倍首相 

 アメリカの政策決定過程は、特に大きな政策を決定する場合には、

問題→シンクタンクでの検討→国内的な政策の調整→(政策の実行)

 というパターンになることが多いですね。この図式にばそのまま当てはまるのがいわゆるアラブの春でした。

 問題:中東の民主化 独裁者が多く遅れている

シンクタンクでの検討:SNSを用いた平和的な体制改革の可能性

→国内的な政策の調整:NPOを用いた平和的革命の方法論の伝授

           フェースブック、グーグルなどの企業の協力

→(政策の実行):アラブの春が・・・とメディアで報道される

 詳細は省きますが、われわれが目にするのは(政策の実行)の部分だけです。しかし、そこからでは、「アラブの春」という物語の全体の構図を見ることはできません。

 振り返って極東の危機に関しても、事情は同様でしょう。カギになるのが「シンクタンクでの検討」の部分ですね。アラブの春の場合であればランド研究所でした。その意味で、北朝鮮問題に関してもランド研究所の研究員の発言には日頃から注目しておく必要があります。そこで、ニューズウィーク誌に次のような論文が掲載されていました。筆者はジェフリー・ホーナングというランド研究所の研究員です。

 「10月22日の日本の総選挙は、アメリカ人があまり意識したことのない真実をあぶり出した。アメリカとドナルド・トランプ米大統領北朝鮮や中国に対抗するためには、日本の安倍晋三首相が必要だ、ということだ。

カリスマ性のある東京都知事小池百合子が「打倒・安倍政権」をキャッチフレーズに「希望の党」を立ち上げた後、束の間とはいえ安倍の自由民主党が不利に思えた時期があった。日本が、過去数十年で最も有能な首相を失いそうに見えたのだ。さらに悪いことに、小池は総理の座を目指さないと明言し、万一安倍が敗れたら、誰が次期首相になるのかさえわからない状態だった。

重大な事実が明らかになったのはその時だ。アメリカは、北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の拡張主義はもちろん、テロや自然災害まで、東アジアの安全保障上の脅威に対処する上で、安倍という強力なパートナーに頼ることにいつの間にか慣れ切っていたのだ。

 

これらの大きな脅威に、アメリカは一国で立ち向かうことはできない。勝利のためには、前進基地を作り同盟国からの支援を受けることが不可欠だ。日本はその両方をしている。日本には世界中のどの地域よりも多い5万人近い米兵が駐留しているのだ。

在日米軍には、米第七艦隊、その空母打撃群、海兵隊第3遠征軍、そして戦闘航空団を含む相当規模の空軍が含まれる。日本政府は、これだけの部隊を維持するための「在日米軍駐留経費」も年間約20億ドル負担している。(中略)

2012年に首相に就任して以降のわずか5年で国家安全保障戦略を作り、武器輸出3原則を緩和し、10年間減り続けていた防衛予算を増やした。海洋における国際法遵守を積極的に訴え、オーストラリア、インド、ベトナム、フィリピンなどと安全保障協力の関係を築いた。日米同盟の関係において、自衛隊の役割と機能も拡大した。

さらに、日本国憲法の解釈を変更して自衛隊集団的自衛権を行使できるようにした。これによって日本は、地域覇権を狙う中国を牽制する位置づけになり、有事の際には重要な役割を果たすことができるようになった。また安倍は前任者たちと違い、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設先を県外や国外にするのではなく、同じ沖縄県の名護市辺野古に新基地を建設することを強く支持してきた。

安倍の政権基盤が強力であることは、アメリカにとって重要だ。東アジアの安全保障上の脅威はなくならない。対抗するには、アメリカと共に積極的な役割を果たすことのできる指導力が必要だ。今現在、それは日本だけだ。

 

アメリカが日本やその他の国にとってどれほど重要かという話はよく聞くが、日本がアメリカにとってどれほど重要かという話はほとんど聞かない。東アジアの安全保障問題に関して言えば、アメリカの政策は日米同盟に始まり日米同盟に終わるということを肝に銘じるべきだろう。」

北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 これは、アメリカから見た日本の立ち位置を見事に説明しています。安全保障上の危機が続くと予想される現在、日本抜きの極東政策はあり得ず、日本は安倍首相が最適であるということです。普通の日本人の感覚でも、同じことが言えるでしょう。

 総選挙後の課題は、いよいよ憲法改正です。9条の改変です。3項の付け加えか、2校の削除化で議論は分かれていますが、日本の安全保障の根幹を決定する重要な改正になります。この点では素直に安倍首相に期待したいと思います。