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中国の海になる地中海

昼下がり、ローマの恋

 中国の関係は昼下がりの情事よりははるかに危険だと思います。

 「欧州連合EU)は22日の首脳会議で、対中国戦略の練り直しを協議した。中国の欧州接近がEUの分断を招きかねないとの警戒感がにじむ。習近平(シー・ジンピン)国家主席の訪問に合わせて、イタリアは主要7カ国(G7)で初めて中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」を巡る覚書に署名する予定。中国マネーの欧州流入に対抗し、EUは中国へ市場開放の圧力を高めていく構えだ。

 EUのトゥスク大統領は20日EU首脳に送った書簡で、今回の首脳会議では対中関係の抜本見直しを協議すると強調した。会議後に採択する総括文書の素案は中国を直接名指しする表現は少ないが、いたるところで中国への警戒がにじむ。

 素案では「公共調達市場を巡る相互的なアクセスを強化する措置の議論の再開を求める」として、欧州企業の公共インフラ市場への参入を制限している国には、その国出身の企業がEU域内の政府機関による入札に参加する場合、差別を容認する仕組みを検討すると明記した。国名は直接出てこないものの、「もちろん中国が念頭にある」(EU外交筋)。

 EU域内への域外企業の参入は原則自由としている一方で、EU企業が中国の公共インフラ市場への入札を阻まれていることに、EU側では不満が募っている

 首脳会議に先立ち、欧州委員会は12日、中国を「競合相手」と位置づける新戦略を公表。通商や次世代テクノロジーの主導権争いで急速に存在感を強める中国へ対抗心をあらわにした。

 背景にはEU中核国のイタリアまでもが中国マネーになびいたことへのEUの衝撃がある。対中圧力を高め、EUの求心力を立て直す狙いが透ける。(以下略)」

EU首脳会議、対中戦略を見直し (写真=AP) :日本経済新聞

 イタリアも財政赤字による予算の制約と、ポピュリスト政党の台頭から、通常の判断ができなくなっているとみるべきでしょう。一概にポピュリスト政党を否定するものではありませんが、5Gのような国家の安全保障がかかった問題で、中国に妥協するとなれば話は別になります。

 中国はすでにギリシャに橋頭保を構えています。これでイタリアにも拠点ができるとすれば、地中海はいつの間にか中国の海となることでしょう。これはEUの大部分の国にとって耐えられないことのはずです。逆に、イタリアと中国の接近を認めるようであれば、EUはその存在理由を問われることになるでしょう。

 それどころか、公共インフラ部門に中国が進出すれば、それこそ欧州の終わりになります。それにしてもイタリアとは‥‥。