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21世紀のリットン調査団

全文 リットン報告書【新装版】

 さて今回は新疆ウイグル自治区が認められるのでしょうか。

 この件については、以下のエントリーで紹介しておきましたドイツの動向が重要であったと考えられます。

ドイツが転向したという事は、中国に対してEUの総意として中国とは距離を取るという事です。それを象徴するのが、調査団の派遣です。

「 欧州連合(EU)首脳は14日、中国の習近平国家主席とオンライン形式で会談し、中国当局による弾圧が問題視されている少数民族ウイグル族の扱いなどの人権問題に「深刻な懸念」を表明した。ミシェルEU大統領は終了後の記者会見で、「独立した監視団の新疆ウイグル自治区入りを求めた」と明らかにした
 EUは国家安全維持法施行後の香港情勢にも懸念を伝えた。首脳会談は6月以来で、フォンデアライエン欧州委員長とEU議長国ドイツのメルケル首相も参加。貿易や気候変動問題も議論した。」

EU、監視団の新疆入り要求 人権問題に懸念―中国と首脳会談:時事ドットコム

 事実上これが中国に対する最後通牒になるのではないでしょうか。表向きは監視団の派遣ということになっていますが、中国がそれを了承するとは思えません。EUとしても「だったら」と言って次の問題を提起しやすくなります。行き着く先は中国とEUの関係悪化でしょう。これはあくまで推測ですが、現行の中国共産党政府がない方が「良い市場になる」という見方が出来るのかも知れません。まあ今のままではあまり儲からないとは言えるでしょう。

 ここで中国包囲網を列挙しておきましょうか。

クアッド:米国、日本、印度、オーストラリア

東南アジア諸国:台湾、ベトナム、フィリピン

ヨーロッパ:英国、フランス、ドイツ、チェコEU

対する中国側の同盟国(もしくは準同盟国)は

アジア:カンボジアミャンマーパキスタン北朝鮮

中東:イラン

南米:ベネズエラ

その他:(ロシア)

ロシアは最後の段階で中国を裏切るかも知れませんので括弧に入れておきました。

これでアメリカに対して戦争をふっかける中国の蛮勇を賞賛するべきなのでしょうか?ただ、愚かなだけなのでしょうか?おそらくは後者なのでしょう。

ここには挙げませんでしたが、ヨーロッパ諸国の裏番尼相当するのがスイスでしょう。

しかし、そのスイスですら、中国に対してはぶち切れモードです。

「 スイス外相は(8月)2日発行の現地紙で、中国は西側に対する開放路線から離れつつあり、もし中国がこの姿勢を維持する場合、西側はさらに断固とした対応を取るだろうという見方を示した。
 スイスのイグナツィオ・カシス(Ignazio Cassis)外相は日曜紙ゾンタークスブリック(SonntagsBlick)に対し、中国における経済の自由化は政治の自由化と比例しておらず、人権侵害が深刻化しつつあると指摘
 「われわれは、中国が開放路線から外れていく様子を目の当たりにしている」と述べたカシス外相は、「このことは、スイスも同様に自国の利益と価値観をより堅固に守らなければならないことを意味する。そのためには、国際法と多国間体制の強化などが必要になるだろう」と話した。
 さらにカシス氏は、スイスと中国との対話の中には常に「法の支配と人権」がテーマとして掲げられてきたが、「事態はわれわれが予想した以上に不穏であることが分かった。人権侵害が増加し続けている。わが国はこれらの権利を守りたいと考えている」と訴えた。
 その上で外相は、「もし中国が香港の『一国二制度』を放棄するのであれば、香港で投資をしてきた多くのスイス企業にも影響が及ぶ」として、「中国がこの新方針に固執するのであれば、西側世界はより断固たる対応を講じるだろう」と述べた。」

「中国は開放路線を捨てつつある」 スイス外相が指摘 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

この8月のニュースが決定的であったことが今から振り返って検証できます。一帯一路の橋頭堡と考えていたチェコにも裏切られ、EUは全体的に中国に敵意をむき出しにしてきたということですね。米中軍事衝突はこれまでも何度か取りあげてきましたが、このままでは、今回の軍事衝突は行くところまで行くしかない、つまり中国共産党の解体をもたらすことでしょう。