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同盟を軽視する大統領が、株価を、通貨を引き下げる

炎と怒り――トランプ政権の内幕

 国防長官の辞任に引きつづき、ダウもS&Pも大暴落。さらには、その責任を取らせるためにムニューシン財務長官を罷免させる密談も始めているトランプ大統領を誰求めることはできないようです。

 何度でも強調しておきたいと思うのですが、トランプ大統領の問題は、同盟軽視という点に尽きます。 

「 月曜日に、ドナルド・トランプ大統領は、大統領の軍事的行動とジム・マティス国防長官の罷免を批判した上院議員らに新たに反論した。
 2つのツイートの中で、トランプ大統領は、世界の軍事同盟を重視しないという考えを提示し、「軍の保護と貿易」で各国に米国が「利用される」のは好まないと述べた。

 「私が他の国と同盟を嫌っているか評価していないと考える少数の上院議員に。彼らは間違っている。私は評価している。私が嫌いなのは、これらの同じ国々の多くが、軍事保護と貿易の両方で、米国との友好関係を利用している場合だ…」とトランプはツイートし、フォローアップを付け加えた。「世界中の多くの非常に裕福な国々の軍隊に助成金を支給する一方で、同時にこれらの国々は、通商に関して米国とアメリカの納税者を全面的に利用している。マティス将軍はこれを問題とは見なさなかった。私は問題にする。そしてそれは修正されている!
 トランプがどの上院議員に言及しているのは不明だったが、日曜日に共和党のパット・トゥーミー上院議員NBCの「ミート・ザ・プレス」に出演し、大統領の外交政策マティス国防長官の視点とずれていると述べていた。
 トゥーミー上院議員は次のように語っている。「私たちが持っている最大の資産は、世界中のほとんどの人々が私たちとの同盟を望んでいることだ」と述べ、次のように付け加えた。「同盟はてこであり、われわれの目的を実現する偉大なる能力なのだ。私は大統領がこの見解を我々が共有しているほど強く共有しているとは思わない。私たちの外交政策を見いだすには、上院議員が立ち上がり、より大きな役割を果たす必要があると考える。
 民主党のクリス・クーンズ上院議員は、日曜日にCBSの「Face the Nation」に出演し、トランプの決定を批判し、イスラム国家を敗北させるための継続的な同盟を求めた。「米国が数十カ国の連合を結成したISISに対する軍事作戦は、勝利する直前だ。つまり、もう少しでシリアのISISを完全に鎮圧できる」とクーンズは述べた。

 ティスは辞任の書簡の中で、世界的な軍事同盟の必要性を強調し、次のように記している。「私が常に抱いてきた一つの核心的信念は、私たちの国としての強さは私たちの独自の包括的な同盟およびパートナーシップの強さに密接に関連しているということだ。
 月曜日遅くに、トランプはブレット・マクガークに怒りの矛先を向けた。マクガークは、イスラム国家に対する戦いを監督していたが、シリアから軍隊を引き出すというトランプの決定に続いて自らの辞任を発表していた。
 「ブレット・マクガークのシンパに。彼は、オバマ大統領に任命されていたことを覚えていこう。マクガークは、イランとの核合意の一環として現金で18億ドルを飛行機に積み込んで、それをイランに送ったときの責任者であった。そして、この核合意はボブ・コーカーも承認していた。」とトランプはツイートしている。
 月曜日の正午過ぎ、トランプはサウジアラビアがシリアにお金を支出する約束をしたことを賞賛した。
 「サウジアラビアは、米国の代わりにシリア再建に必要なお金を支出することに合意した」と彼はツイートした。「5千マイルも離れたアメリカの代わりに、巨大な富を蓄えた隣国が隣国の再建に力を貸すというのは、素晴らしいことではないだろうか。サウジAのおかげで!」
 8月に国務省は、サウジアラビアがシリアを援助する米国主導の連合に1億ドルを供給することに合意したと発表した、ウォールストリートジャーナルは、その数字がトランプがサウジアラビア政府に要求していた当初の援助予定額の10億ドルよりもはるかに低い金額であったと記している。」

Trump swipes at senators, Mattis over military alliances - POLITICO

 同盟国が、軍事・通商の面でアメリカを利用していると主張するならば、今後アメリカと同盟を希望する国家は急速に減少することになるでしょう。欧州においても、米国やイギリスの影響が及ばない欧州軍の成立も押しとどめることはできません。実際には、アメリカは、通商や軍事の面で同盟国に譲歩する一方で、それ以外の点では、成果を挙げてきました。そしてそれが覇権国家としてのアメリカを支えてきたのです。言い換えれば、同盟関係はアメリカのヘゲモニーの大黒柱といえるでしょう。その同盟関係を自ら否定するようであれば、今後、アメリカの影響力は急速に減退することでしょう。

 しかし、そんなことは、トランプ大統領以外の安全保障関係者は十分に承知しているはずです。ですから、今後、ペンタゴンホワイトハウスの対立は激化することでしょう。大統領暗殺とは行かないにせよ、ペンス副大統領に期待が集まることは避けられません。

 明白なのは、このままトランプ大統領がその地位に留まれば、アメリカは高転びするのは確実だと言うことです。

 こうしたトランプ大統領の同盟軽視の方針が影響を与えるのは、実際のところ、チベットウイグルといった地域です。これらの地域をアメリカが独立させることは不可能でしょう。アメリカにその意思がないからというよりは、アメリカが信用を失ってしまっているからです。

 つまり、中国とのラウンドにおける同盟関係の重要性という観点にまでトランプ大統領は配慮が及んでいないのです。

 こうした中途半端な状況は、アメリカを不安定な状態に晒すことになります。年が明けても、株価やドルは下がり続けるのではないでしょうか。