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EUにも追い詰められる中国

「三つの帝国」の時代――アメリカ・EU・中国のどこが世界を制覇するか

 中国の通商政策に不満を感じているのは、アメリカだけではありません。ついに、EUも重い腰を上げたようです。

 「 在中国の欧州連合(EU)商工会議所は5日夜、中国国際輸入博覧会での習近平国家主席の演説について、市場開放に向けた具体的な行動や期日について踏み込んだ言及がなかったとの認識を示した。
 習主席は5日、輸入博で演説し、輸入関税の引き下げと市場アクセスの拡大を継続することを約束。海外からの輸入を増やし、教育・通信・文化分野で開放を加速する一方、知的財産権の侵害について懲罰的な法の執行を強化すると話した。演説内容は、従来の発言とほぼ同じだった。
 在中国のEU商工会議所は、これについて「必要とされるほど踏み込んだ内容ではなかった」との声明を発表。習主席が教育・医療サービス分野の外資上限撤廃を約束したことや、中国・EU投資条約の交渉加速を目指す方針を示したことは評価したものの、「中国政府は(輸入博を)画期的なイベントと喧伝しており、欧州企業はもっと高い期待を抱いていた」と述べた。
 「(中国は)十分な具体策や期日を導入せずに、常に同じことを繰り返しており、欧州企業は、この種の約束にますます無反応になってきている」とも指摘。
 習主席が拡大を約束した自由貿易区についても「幻滅した」とし「中国経済の重要性・成熟度にそぐわない臆病な改革アプローチだ」と批判した。
 「中国は、新たな経済分野の外資開放に注力すべきであり、隔離された一部地域での『試験的な』改革に注力すべきではない」としている。」

EU商工会議所、中国に対外開放の具体策要望 | ロイター

 結局のところ、中国は市場を開放する気はさらさらないのです。口先だけは「市場開放」と主張するのですが、いつの間にかうやむやにしてしまいます。そうした事態に、アメリカだけでなく、EU諸国も不満を隠さなくなってきたところにこのニュースの面白さがあります。

 今後の展開としては米中だけでなく中国と欧州の間にも貿易戦争が勃発することになりそうです。中国で経済不調を理由とする暴動が多発することになるでしょうし、アメリカほど直接のかかわりが深くないEU諸国に対しては自動車関税の引き上げにまで至るかもしれません。

 その一方でEU特にドイツはアメリカとの通商問題も抱えており、アメリカでも関税引き上げ、中国市場でも関税引き上げとなれば、ドイツの自動車産業は干からびてしまうことでしょう