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米朝首脳会談へのロシアの反応

ポスター/スチール写真 A4 パターンG 007 危機一髪(ロシアより愛を込めて)光沢プリント

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 今回の米朝合意に関してはラブロフ外相が9日にコメントを発表しています。

  「ロシアはアメリカと北朝鮮の首脳会談が実施されるという合意が実行されることを希望していると、先週の金曜日にロシアのラブロフ外相は述べている。
 「我々は正しい方向に踏み出していると考えている。願わくば、合意が実行されればよい。北朝鮮周辺の状況を正常化する必要があることは明らかだ」とラブロフ外相は語った。「それと同時に、我々はソウルと平壌の間での4月の首脳会談も歓迎している」とも付け加えた。
 「これこそロシアや中国及びその他の国々が求めていたことである。恐喝、最後通牒、一方的な制裁を用いることなく、相互の敬意に基づく対話によって、双方が満足のいく合意を通じて、朝鮮半島の核問題をめぐるわだかまりを一掃することを支持する」とラブロフは述べている。
 ラブロフ外相は、平壌は制裁のために交渉のテーブルに着かざるを得なかったというワシントンの声明にはコメントを出さなかった。「ワシントンと平壌の間の首脳会談を実施するという合意にたどり着くことができたのは制裁圧力であったかどうかという点には私はコメントしない。どうして合意ができたのかに関して詮索はやめよう。重要なことは合意がなされたということだ」
 「より重要なことは、合意を無に終わらせず実施することである。6カ国協議と国連安保理によって承認された既存の原則に基づいて朝鮮半島の核問題を解決するために全面的な政治交渉への道が開かれることだ」と外相は説明した。
 木曜日には韓国の安全保障顧問がホワイトハウスで記者にトランプ大統領金正恩と5月に合う用意があると述べている。」

TASS: Russian Politics & Diplomacy - Moscow hopes US, North Korean leaders will meet - Lavrov

 情報源はタス通信なのでコメントの内容は信頼出来ます。意外だったのは、コメントが出るタイミングの早さです。これは北朝鮮側から事前の通告があったと見るべきでしょう。
 そしてロシアが今回の米朝対話を支持しているのは明らかでしょう。その背景として考えられるのは、中東や東欧で対立しているアメリカとこれ以上対立する場所を作り出したくはないということです。
 次に挙げられるのは、朝鮮半島問題にアメリカをもうすこし平和的な形で関与させることで、中国に対する牽制になるという発想でしょう。
 北朝鮮の核を撤去する代わりに、北朝鮮に米軍基地を設けて、中国を牽制すると言うことが出来れば、なかなか胸熱な展開ですが、そうなる可能性は低いでしょう。
 むしろ、今回の合意に関して完全にスルーされた中国の動向が気になります。逆に、中国の立場からすれば、金正恩がトランプ相手に譲歩しすぎれば、安全保障上の脅威が増大することになります。ただでさえ、北朝鮮と旧瀋陽軍区の関係が重しになっているところに、北朝鮮がアメリカの傀儡国家となれば、中国の安全保障は根底から覆されることになります。トランプ大統領がそれを狙っていたとすればなかなかの策士といわざるを得ません。
 とするならば、北朝鮮本国で金正恩打倒のための中国側の意向を受けた動きは活性化することでしょう。
 また、北朝鮮との核合意が形成されるかどうかも,現段階では全くわかりません。やっぱり首脳会談はやめたとなる可能性も依然として低くないでしょう。その場合は,一転して、限定的な対北朝鮮先制攻撃が実施されることになります。
 こう考えれば、まだ北朝鮮を巡る状況が和平に向かって動いているとは言えないと思います。