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「北朝鮮、近く長距離ミサイル試射の可能性」というロシア議員の発言に関して

 まずは、報道を見てみましょう。

  ブルームバーグは次のように伝えています。

北朝鮮はミサイル試射を計画しており、同国当局者はこのミサイルが米西海岸にも到達できると説明している。平壌訪問から今週帰国したロシア下院議員が明らかにした。

 政権寄りとされる自由民主党に所属し、下院国際問題委員会のメンバーでもあるモロゾフ議員は電話インタビューで「北朝鮮当局者はいっそう強力な長距離ミサイルの試射を準備していると話し、このミサイルは米西海岸を攻撃することも可能だとの見方を示した」と発言。北朝鮮の当局者はこのミサイルを近く試射できるとしつつ、それ以上の詳細は控えたという。

 モロゾフ議員は、北朝鮮のミサイルが米国に到達するためにはロシア上空を通過しなければならない公算が大きいとし、米国がミサイル迎撃を計画する場合、ロシアにとってリスクが高まると指摘した。同議員によると、ロシアの訪朝団は北朝鮮政府の高官と会談したが、軍関係者には会わなかった。

  また「北朝鮮は対立に向けて真剣に用意を整えていることを示すため、あらゆる手を尽くした」と語り、北朝鮮当局者はミサイルの飛行距離が1万2000キロメートルにも達するだろうと述べたことを明らかにした。」
 実はCIAからも同様の警報がなされています。産経新聞からです。
「米中央情報局(CIA)で朝鮮半島情勢を統括する「コリア・ミッションセンター」のヨンスク・リ副局長代理は4日、ワシントン市内の大学で講演し、北朝鮮朝鮮労働党創建記念日である今月10日(米国時間9日)に挑発行為を仕掛けてくる可能性があるとの見方を明らかにした。

 リ氏は、9日が米国の祝日である「コロンブス・デー」にあたると指摘。北朝鮮はこれまでも米国の祝祭日に合わせてミサイル発射や核実験などを実施してきた。リ氏は、「電話のそばにいた方がいい」と関係者に準備態勢に入ることを推奨北朝鮮がどのような挑発行為を行うかについては言及しなかった。

 リ氏は一方で、北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長は「非常に理性的な人物だ」と述べ、「朝鮮半島での戦争を最も望んでいないのは金氏だ」と指摘。「金氏が望んでいるのは他の権威主義的指導者と同様、治世を長続きさせることだ」とし、「米国や同盟国と戦うことに関心はない」と強調した。

 リ氏の指摘は、金氏を「狂った男」と非難するトランプ大統領の主張を実質的に打ち消すものだ。ただリ氏は、「米国が北朝鮮を本気で非核化させようとしていると確信させることが、中国を対北圧力に同調させる唯一の道だ」と述べ、トランプ政権の圧力路線を支持する考えを示唆した。

 現職のCIA幹部が北朝鮮情勢に関して公の場で発言するのは異例。」

【北朝鮮情勢】「10日に挑発行為も」CIA高官が警告 金正恩氏は「非常に理性的」とも指摘 - 産経ニュース

 ロシアの議員だけでなく、CIAの当局者も10日が危ないと主張していることには一定の配慮が必要でしょう。少なくとも、10日にミサイルの発射準備があるということは確かであると考えられます。
 仮にミサイルを発射した場合、そして、太平洋上で水爆を爆破させた場合は、そのまま戦争に突入する可能性が高くなります。それが、トランプ大統領の「嵐の前の静けさ」発言の真意なのでしょう。
 しかし、その一方で、金正恩が「理性的な人物」であるという評価から考えれば、今回の10日の発射の可能性は若干低下すると考えられます。
 「体制の存続」という金正恩体制の目的を正確に把握していることから、CIAは今回の発射は抑止できると踏んでいるのではないでしょうか。
 米朝との直接交渉でも。「10日に発射すれば、必ず報復」という恫喝がなされているはずです。