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始まった権力闘争、習近平VS中国共産党

 

習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機 -

 これまで中国がつぶれるつぶれるといわれてきました。しかし、今度は状況が違うようです。

  石平氏のコラムから引用します。

「 プーチン大統領らが同席した討論会の席上、習主席は米中関係について「米中間は今貿易摩擦の中にあるが、私はアメリカとの関係断絶を望んでいない。友人であるトランプ大統領もそれを望んでいないだろう」と述べた
 私はこの発言を聞いて実に意外に思った。米中貿易協議が決裂してから1カ月、中国政府が「貿易戦争を恐れず」との強硬姿勢を繰り返し強調する一方、人民日報などがアメリカの「横暴」と「背信」を厳しく批判する論評を連日のように掲載してきた。揚げ句、中国外務省の張漢暉次官は米国の制裁関税を「経済テロ」だと強く非難した。
 こうした中で行われた習主席の前述の発言は明らかに、中国政府の強硬姿勢と国内メディアの対米批判の強いトーンとは正反対のものであった。彼の口から「貿易戦争を恐れず」などの強硬発言は一切出ず、対米批判のひとつも聞こえてこない。それどころか、トランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係を断絶したくない」とのラブコールさえ送った。
 国外での発言であるとはいえ、中国最高指導者の発言が、国内宣伝機関の論調や政府の一貫とした姿勢と、かけ離れていることは、まさに異例の中の異例だ
 さらに意外なことに、習主席のこの「友人発言」が国内では隠蔽(いんぺい)された一方、発言当日から人民日報、新華社通信などの対米批判はむしろより一層激しくなった。新華社通信のネット版である新華網は7日、アメリカとの妥協を主張する国内一部の声を「降伏論」だと断罪して激しく攻撃。9日には人民日報が貿易問題に関する「一部の米国政治屋」の発言を羅列して厳しい批判を浴びせた。
 それらがトランプ大統領の平素の発言であることは一目瞭然である。人民日報批判の矛先は明らかに習主席の「友人」のトランプ大統領に向けられているのだ。そして11日、人民日報はアメリカに対する妥協論を「アメリカ恐怖症・アメリカ崇拝」だと嘲笑する論評を掲載した。
 ここまできたら、新華社通信と人民日報の論調は、もはや対米批判の領域を超えて国内批判に転じている。それらの批判は捉えようによっては、習主席その人に対する批判であるとも聞こえるのだ。貿易戦争の最中、敵陣の総大将であるはずのトランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係断絶を望まない」という習主席の発言はまさしく、人民日報や新華社通信が批判するところの「降伏論」、「アメリカ恐怖症」ではないのか。
 習主席の個人独裁体制が確立されている中で、人民日報などの党中央直轄のメディアが公然と主席批判を展開したこととなれば、それこそ中国政治の中枢部で大異変が起きている兆候であるが、その背後に何があるのかは現時点ではよく分からない。おそらく、米中貿易戦争における習主席の一連の誤算と無定見の右往左往に対し、宣伝機関を握る党内の強硬派が業を煮やしているのではないか。
 いずれにしても、米中貿易戦争の展開は、すでに共産党政権内の分裂と政争の激化を促し、一見強固に見えた習主席の個人独裁体制にも綻(ほころ)びが生じ始めたもようである。」

【石平のChina Watch】人民日報の「習近平批判」(2/2ページ) - 産経ニュース

 このまま行けば、習近平は対米関係悪化の責任を取らされることは明白です。しかし、習近平が2期で終わっても、その次の指導者は「反米復讐」に燃える人物になるでしょう。ですから、米中軍事衝突の可能性は高くなることはあっても、下がることはないのです。