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トランプ、サウジアラビアの不安定性に対処する

 レバノンのハリリ首相辞任のニュースは、中東を危機的な状況に追い込んでいます。そのために、アメリカが介入を始めました。状況によっては原油の需給にも支障が出るかも知れません。

  「トランプ政権は、とりわけ,イランからの武器流出に対処するにあたって、リヤドとより容易に共同歩調を取るために、サウジアラビア内部の緊張を緩和するために介入しています。
 「不安定な状態は,ヒズボラとその同盟者以外には全く役に立たない」と政権幹部がWSJに語っています。「この状況が長引けば長引くほど、サウジ、アメリカ、それに同盟国の利益が失われる
 この地域のトラブルは今月初め、レバノンのハリリ首相が突如辞任を表明したことから始まっています。この一件では、ハリリ元首相が自分の意思に反して幽閉されているのではないかという懸念が生まれました。
 ヒズボラの指導者サイード・ナスララは突如、サウジアラビアレバノンに対して宣戦布告を行ったと主張し、ハリリ首相を抑留しているといって非難したのです。
 しかしサウジアラビアは、レバノンヒズボラがリヤドに宣戦布告したのだと反論し、サウジアラビアの市民にレバノンを退去するように勧告しました。
 ホワイトハウスの報道官はハリリ支持を確認しています。
 「サード・ハリリ首相は、レバノン政府を強化し、テロと戦い、難民を保護するに当たってアメリカの信頼出来るパートナーであった」とサラ・ハッカビー・サンダース報道官は述べています。「合衆国は、レバノン軍と他の公安機関が,レバノンで唯一の正当な公安当局であると何度でも念を押しておく」
 トランプ大統領は,先月、サウジアラビアに対してミサイル防衛システムの取引を承認しました。これによって、リヤドは、外部の脅威に対抗するためのミサイル発射装置、ミサイル、レーダー技術を150億ドルで購入することが出来ます。
 ホワイトハウスはイランの武器供給と、その武器の中東全域のイランの同盟国への流出を制限したいという希望を表明しています。その中には、イエメンのフーシー派やヒズボラも含まれています。
 サウジアラビアの敵であるこれらのグループに武器がわたることが、アメリカ政府とサウジアラビア政府に懸念を引き起こしているのです。」

Trump seeks to stem uncertainty in Saudi Arabia | TheHill


  イエメンでの紛争を停止するためには、武器の流入を防がなければいけません。しかし、このイエメンの内戦はもはやアメリカとイランの代理戦争となっています。それが、今回のハリリ首相の辞任とイエメン紛争の激化となって現れているのです。

 レバノンに関して言えば、ヒズボラレバノンでの政党としての側面も持ちます。ヒズボラレバノン政府の正規の組織とは認めないというアメリカの姿勢が、「合衆国は、レバノン軍と他の公安機関が,レバノンで唯一の正当な公安当局であると何度でも念を押しておく」という発言の背後にあります。
 以前にも指摘しましたが、米国・イスラエルサウジアラビア(+湾岸諸国)とイランの対立が深刻化しています。落ち着いてきた北朝鮮に比べても、危険な状況であると言えるでしょう。