FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

米韓同盟は存続できるのか?

朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作 (PHP新書)

 誰でもわかることですが、米韓同盟がなくなれば、韓国は自国の軍を除けば完全な無防備になります。その段階で北朝鮮が侵攻しないとだれがいえるのでしょうか。文在寅北朝鮮の進攻はないと考えているようですが、北朝鮮にしてみれば、「直接進攻するまでもない」というところなのかも知れません。それをアメリカから見ればというのが今回のお話です。

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トランプの再選を左右するシリア問題

トランプ「超・保守改革」神と自由を取り戻す! (View P BOOKS)

 日本でもトランプ大統領を評価する人は多いようです。しかし、肝心の大統領選がおかしなことになっています。有志連合についてはまた後日。 

 「 金曜日に発表されたロイター・イプソスの新らたな世論調査によると、トランプ大統領が国の北東部から部隊を撤退させるという決定の結果、共和党のシリアに対する計画に対する信頼は低下した。
 調査の対象となった共和党員の54%は、シリア政策に関して、共和党が、民主党やそれ以外の人々よりもより良い計画を持っていると回答した。これは、4月の同じ質問の回答からの12ポイントの低下であった。
 共和党テロ対策戦略に対する共和党員の信頼も打撃を受け、「テロとの戦争」を管理するためのより良い計画を共和党が持っていると答えたのは、65%にとどまり、6か月前から10ポイント低下した。
 投票を実施したGOPデータマネージャーであるテリーブリエンは、トランプ大統領のシリア北東部からの撤退決定は、中東において「非常に長い間で犯した最大の過ちの1つ」だと語った。
 「トランプは力量不足のようだ。何事も理解していないのだろう」とブリエンは語った。
 ロイター・イプソスの世論調査は、CNN世論調査アメリカ人の75%がシリア北東部の進行中の状況に懸念を抱いており、多くがISISの復活の可能性を恐れているということを明らかにした翌日に発表された。
 トルコの攻勢を見越してシリア北東部から部隊を撤退させるトランプの今月の決定は、ワシントンを驚かせた。超党派の批評家は、米軍の退却がトルコの侵入を許し、ISISを打ち負かすために戦ったアメリカ同盟グループを放棄したと語った。
 多数のクルド人が攻撃で殺され、一部のISIS囚人は逃げることができた。というのも、囚人を管理していたクルド人が、トルコに対して身を守るために装備を再配置しなければならなかったためだ。これらのことが報道により表面化した。
 トランプ大統領は撤退を擁護し、「無限の戦争」を止め、水曜日にシリアで「少数」の部隊を維持することを明確にしたと述べた。大統領はまた、アンカラが停戦を決定し、その地域のクルド人がトルコとシリアの国境沿いの指定された安全地帯から撤退することを強制したと発表した。
 ロイター/イプソスの調査では、10月18〜22日に1,542人の共和党員が調査の対象となり、誤差は上下2.8パーセント程度とされている。」

Poll: GOP faith in party's plan for Syria drops | TheHill

 これまでトランプ大統領は、共和党内部の支持は盤石であると言われてきました。しかし、今回の共和党内部の調査でも、その支持が揺らいでいることがわかります。マティス元国防長官が、辞任してまでも拒否したのがシリアからの撤退でした。同盟国として戦ってきたクルド人を見捨てるという行為が、アメリカ人にとって不快な、不愉快な決定であったことはもはや明らかでしょう。共和党ですらこの調子なのですから、民主党の大統領候補が誰になるとしても、逆転が生まれる可能性が生まれたといえるでしょう。ただ、共和党の方が優位ではあるのですが、トランプリスクが表面化した形です。

 民主党で現在有力なのは、ウォーレン候補ですが、WSJでは金融業界が頭を抱えていると報じています。

「 「米金融業界の民主支持者からは、ウォーレン氏が指名を獲得すれば、本選では投票しないといった声も出ているという。ある弁護士はウォーレン氏の政策を「階級闘争」と呼び、自身のプライベート・エクイティー(PE)業界の顧客は「ABW(anybody but warren)『ウォーレン以外なら誰でも』列車」に乗っていると冗談交じりに語っていると明かす。
 ウォーレン氏の広報担当者はコメントを控えた。
 大統領選の予備選で蚊帳の外に置かれる状況は、こうした献金者にとって初めての体験だ。これまでは候補者に依頼を受けて、自らの意見を表明するために政治組織の結成や資金提供を行ってきた。だが今回ばかりは、ウォーレン氏の政策を批判すれば同氏のメッセージを強めることになり、同氏の人気を一層押し上げかねないと考えている。
 ニューヨークのある投資家は「ウォール街の人間が、口を閉ざすべきだと学んだのは今回だけだ」と語る。」」

ウォーレン氏躍進を案じる米金融界、無力感も - WSJ

 逆に、金融業界に縁がない一般のアメリカ国民にとっては、有力な支持対象になりうるということでもあるでしょう。そこに、トランプに批判的な共和党支持者の票が加われば、逆転もありうるといえます。ただ、ウォーレン候補の主張する政策が、富裕層に対する増税なので、反発も大きいと考えられます。ただトランプ大統領の時ですら同様の反発があったことを考えれば、可能性がないとまでは言えないでしょう。

 その一方で、バイデン候補の場合であれば、トランプ候補もしくはほかの共和党候補が圧勝することでしょう。息子のウクライナの不始末を出されれば、反論ができないためです。ただ、このウクライナ問題ではトランプ大統領も真っ黒なので、共和党の側から言えば、トランプ大統領は再選されない方がよいということにもなるのですが。

 サンダース候補に関しては、老齢と病気が障害になるので、可能性は薄いとみられます。やはり、民主党の方で魅力のある候補が大統領選候補として選ばれることが逆転のための必要条件でしょう。

金正恩は、どこに行く?

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 先日、白頭山に馬に乗って登る金正恩の写真が公開されていましたが、彼はいったいどこに向かおうとしているのでしょうか。

 ショッキングだったのは、この朝鮮日報の記事です。
金正恩氏「前任者の政策は大間違い」…父・金正日総書記を前例ない批判  
 北朝鮮金正恩キム・ジョンウン)国務委員長が金剛山の韓国側施設撤去を指示した際「前任者の依存政策は非常に間違っていた」と述べた金正恩氏が語った「前任者」は自らの父である故・金正日キム・ジョンイル)総書記を意味するものとみられる。
 北朝鮮はこれまで金剛山観光をはじめとする南北経済協力事業について「金正日総書記の決断」と宣伝してきた。金正恩氏が自らの父の進めた金剛山観光を含む対南政策を「間違っていた」と批判したのだ。世襲政権の北朝鮮で後継者が父親を批判するのは前例のないことだ
 金正恩氏は「手っ取り早く観光地でも渡してやり、座って利益を得ようとしていた前任者らの誤った政策で、金剛山はおよそ10年間放置され傷が残った」「土地が惜しい、国力が弱いころ、南に依存しようとしていた前任者らの依存政策は大きく間違っていた」と深刻に批判したという。北朝鮮の労働新聞が23日付で報じた。労働新聞はさらに「党中央委員会の担当部署が金剛山観光地区の敷地を全て提供し、文化観光地の管理を怠り、景観に害をもたらしたことを、厳しく指摘した」とも伝えた。
 北朝鮮で神格化されている金日成(キム・イルソン)主席と金総書記の政策を堂々と批判するのは想像しにくい。ところが今回は金総書記の息子であり、政治的後継者の金正恩氏が先代の政策を「対南依存的」として全面的に批判したことから、その背後の事情に注目が集まっている。
 これについてかつて統一研究院の院長を務めたキム・テウ氏は「金正恩氏は父と祖父を超えてより偉大な指導者になりたいということだ」と指摘した。国家安保戦略研究院のパク・ピョングァン研究員は「金正恩氏が先代の政策を堂々と批判できるほど自信を示すことで、金正日式の対南依存型観光政策から脱却し、新たな観光政策を進めるということだろう」との見方を示した。
 一部では今回の発言について「金総書記というよりも、対南政策に深く関与していた張成沢チャン・ソンテク)氏など、金正日政権当時の政策担当者を批判した」との解釈も出ている。東国大学の高有煥(コ・ユファン)教授は「金正恩氏は実務担当者を連れていったようなので、彼らの前任者という意味かもしれない」と指摘した。」

金正恩氏「前任者の政策は大間違い」…父・金正日総書記を前例ない批判 -Chosun online 朝鮮日報

 普通に考えれば、金正恩トランプ大統領との関係が確固としたものになったので、もはや、「親父を超えた」と考えているということです。しかも、父親の代の韓国経済への依存を徹底して批判し始めているので、今後は韓国経済に依存しないことを宣言したといえます。

 背景には、北の資源外交がまだ開発されていないにもかかわらず成功を収めつつあるということでしょう。それは次のような記事からも判断できます。

スイスの組織から称賛される金正日会長、平壌、10月24日(KCNA)
 白頭山の偉大な人物を称賛する国際フェスティバルのスイス組織委員会チュチェ思想研究のためのスイスグループは、金正日会長の著作「社会主義は科学」の出版25周年にあたる10月18日に共同声明を公開した
 声明によれば、金正日は1994年11月1日に科学としての社会主義の勝利の必然性を実証する研究を発表した。
 共同声明によると、この研究が発表されたのは、帝国主義者、反動主義者、社会主義の堕落勢力が「社会主義の完全な終焉」に関して大騒ぎして、社会主義の理想そのものが無効であると主張している時であった。
 朝鮮社会主義の無敵性の要因と、いくつかの国における社会主義の崩壊の理由について明確な分析を行ったと声明は付け加えた。
 それは、人間中心の社会主義、大衆を中心とした社会主義が最も科学的、有利かつ強力であると主張し、その科学的正確さと真実のために、社会主義は必ず勝利するだろうとさらに付け加えていた。
 この研究を通して、彼は優れた思想家であり理論家であり、社会主義大義を成し遂げた偉大な教師であることをよく知ることができると声明は述べている。」

http://www.kcna.co.jp/item/2019/201910/news24/20191024-03ee.html

 この記事でのスイスグループなどはその実態が明らかではありません。しかし、スイスが北朝鮮の背後にいることはこれまでに何度も指摘してきました。我々が考える以上に、北朝鮮を支える意思がある国家は多いということなのでしょう。

 その観点から、韓国を見れば、現在も韓国に対する工作は継続しており、その工作の目的は韓国に無謀な外交政策をとらせることで韓国とアメリカの同盟を破棄させ、経済的に破滅したところで、北朝鮮が韓国を回収するということにあると考えられます。

 文在寅のような人物を大統領に選んだ段階でその滅亡は約束されていたというべきでしょう。