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トランプの再選を左右するシリア問題

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 日本でもトランプ大統領を評価する人は多いようです。しかし、肝心の大統領選がおかしなことになっています。有志連合についてはまた後日。 

 「 金曜日に発表されたロイター・イプソスの新らたな世論調査によると、トランプ大統領が国の北東部から部隊を撤退させるという決定の結果、共和党のシリアに対する計画に対する信頼は低下した。
 調査の対象となった共和党員の54%は、シリア政策に関して、共和党が、民主党やそれ以外の人々よりもより良い計画を持っていると回答した。これは、4月の同じ質問の回答からの12ポイントの低下であった。
 共和党テロ対策戦略に対する共和党員の信頼も打撃を受け、「テロとの戦争」を管理するためのより良い計画を共和党が持っていると答えたのは、65%にとどまり、6か月前から10ポイント低下した。
 投票を実施したGOPデータマネージャーであるテリーブリエンは、トランプ大統領のシリア北東部からの撤退決定は、中東において「非常に長い間で犯した最大の過ちの1つ」だと語った。
 「トランプは力量不足のようだ。何事も理解していないのだろう」とブリエンは語った。
 ロイター・イプソスの世論調査は、CNN世論調査アメリカ人の75%がシリア北東部の進行中の状況に懸念を抱いており、多くがISISの復活の可能性を恐れているということを明らかにした翌日に発表された。
 トルコの攻勢を見越してシリア北東部から部隊を撤退させるトランプの今月の決定は、ワシントンを驚かせた。超党派の批評家は、米軍の退却がトルコの侵入を許し、ISISを打ち負かすために戦ったアメリカ同盟グループを放棄したと語った。
 多数のクルド人が攻撃で殺され、一部のISIS囚人は逃げることができた。というのも、囚人を管理していたクルド人が、トルコに対して身を守るために装備を再配置しなければならなかったためだ。これらのことが報道により表面化した。
 トランプ大統領は撤退を擁護し、「無限の戦争」を止め、水曜日にシリアで「少数」の部隊を維持することを明確にしたと述べた。大統領はまた、アンカラが停戦を決定し、その地域のクルド人がトルコとシリアの国境沿いの指定された安全地帯から撤退することを強制したと発表した。
 ロイター/イプソスの調査では、10月18〜22日に1,542人の共和党員が調査の対象となり、誤差は上下2.8パーセント程度とされている。」

Poll: GOP faith in party's plan for Syria drops | TheHill

 これまでトランプ大統領は、共和党内部の支持は盤石であると言われてきました。しかし、今回の共和党内部の調査でも、その支持が揺らいでいることがわかります。マティス元国防長官が、辞任してまでも拒否したのがシリアからの撤退でした。同盟国として戦ってきたクルド人を見捨てるという行為が、アメリカ人にとって不快な、不愉快な決定であったことはもはや明らかでしょう。共和党ですらこの調子なのですから、民主党の大統領候補が誰になるとしても、逆転が生まれる可能性が生まれたといえるでしょう。ただ、共和党の方が優位ではあるのですが、トランプリスクが表面化した形です。

 民主党で現在有力なのは、ウォーレン候補ですが、WSJでは金融業界が頭を抱えていると報じています。

「 「米金融業界の民主支持者からは、ウォーレン氏が指名を獲得すれば、本選では投票しないといった声も出ているという。ある弁護士はウォーレン氏の政策を「階級闘争」と呼び、自身のプライベート・エクイティー(PE)業界の顧客は「ABW(anybody but warren)『ウォーレン以外なら誰でも』列車」に乗っていると冗談交じりに語っていると明かす。
 ウォーレン氏の広報担当者はコメントを控えた。
 大統領選の予備選で蚊帳の外に置かれる状況は、こうした献金者にとって初めての体験だ。これまでは候補者に依頼を受けて、自らの意見を表明するために政治組織の結成や資金提供を行ってきた。だが今回ばかりは、ウォーレン氏の政策を批判すれば同氏のメッセージを強めることになり、同氏の人気を一層押し上げかねないと考えている。
 ニューヨークのある投資家は「ウォール街の人間が、口を閉ざすべきだと学んだのは今回だけだ」と語る。」」

ウォーレン氏躍進を案じる米金融界、無力感も - WSJ

 逆に、金融業界に縁がない一般のアメリカ国民にとっては、有力な支持対象になりうるということでもあるでしょう。そこに、トランプに批判的な共和党支持者の票が加われば、逆転もありうるといえます。ただ、ウォーレン候補の主張する政策が、富裕層に対する増税なので、反発も大きいと考えられます。ただトランプ大統領の時ですら同様の反発があったことを考えれば、可能性がないとまでは言えないでしょう。

 その一方で、バイデン候補の場合であれば、トランプ候補もしくはほかの共和党候補が圧勝することでしょう。息子のウクライナの不始末を出されれば、反論ができないためです。ただ、このウクライナ問題ではトランプ大統領も真っ黒なので、共和党の側から言えば、トランプ大統領は再選されない方がよいということにもなるのですが。

 サンダース候補に関しては、老齢と病気が障害になるので、可能性は薄いとみられます。やはり、民主党の方で魅力のある候補が大統領選候補として選ばれることが逆転のための必要条件でしょう。