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アメリカからも中国からもタコ殴りにされるドイツ

タコ殴り

タコ殴り

 少々卑屈に見えても、アメリカとの関係を大切にするのは重要なことです。これからドイツに起きることを考えれば。

  最近の傾向として、中国がついにドイツを避け始めたことが挙げられます。

「欧州を訪問している中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席メルケル独首相やマクロン仏大統領、欧州連合EU)のユンケル委員長と26日にパリで会談することが分かった。中国は23日、イタリアと広域経済圏構想「一帯一路」で協力する覚書に署名する見通し。中国が欧州の分断を図っているとの警戒が強まるなか、協調を演出する狙いがあるとみられる。

 習氏は21日夜(日本時間22日未明)、欧州歴訪の最初の訪問国であるイタリアに到着した。中国の国家主席がイタリアを公式訪問するのは約10年ぶりで、23日にコンテ首相と会談して一帯一路の覚書を締結する見込み。イタリアのインフラ整備などに中国が協力する内容になるとみられる。

 インフラ整備が遅れ、景気が減速するイタリアにとって、一帯一路に協力することで見込める中国からの投資拡大は魅力的だ。中国にとっても、主要7カ国(G7)の一角であるイタリアを一帯一路に引き込めば、米国を中心に強まる包囲網にくさびを打ち込める。

 習氏はイタリアの後はモナコ、フランスを訪問する予定で、26日にパリで独仏EUのトップとの4首脳会談に臨む。きしみが目立ち始めた経済関係の改善などがテーマになる見通しで、友好ムードを演出できるかに注目が集まりそうだ。

 欧州と中国はこれまで貿易などで比較的良好な関係を築いてきたが、最近は中国に進出した企業への技術移転の強要問題などに欧州側が不満を強めている。イタリアとの一帯一路の覚書締結についても、欧州の足並みを乱すものだとして警戒が強まっていた。

 欧州側は21日にブリュッセルで開幕した首脳会議で、対中関係を話し合う予定。巨大市場を抱える中国とは一定の関係を維持したいのが本音で、4首脳会議では中国に技術の保護や市場開放などを求めるとみられる。このほか、温暖化対策なども議題になる見込みだ。」

中国習主席、独仏欧首脳と会談へ 26日にパリで (写真=ロイター) :日本経済新聞

 習近平メルケル首相とはパリで会談するものの、ドイツはスルーというのは珍しい現象といえます。ただ、アメリカの圧力によりファーウェイの5Gの導入は断念すると決定しているので、あえて回避されたとみるべきでしょう。

 ただ、欧州側も中国には警戒が高まっており、対中関係が円滑に進むとは考えにくいところです。

 しかし、ドイツにとって難敵は中国だけではありません。

ルケル独首相は16日、ミュンヘン安全保障会議で演説し、欧州の車は米安全保障上のリスクだと米政権が示唆したことに「ショック」を受けたと述べ、トランプ大統領を非難した

  メルケル首相は多国籍企業を強く擁護。世界貿易の促進と協調を呼び掛けるとともに、独自動車大手BMWの最大の工場は同社発祥の地であるバイエルン州ではなく、米国のサウスカロライナ州にあると指摘した。

  メルケル首相は「われわれはドイツの車に誇りを持っている」とした上で、「われわれは誇りを持つことが許されている。そしてこれらの車は米国で生産されている」と発言。「リスクという点ではバイエルン州で生産された車と変わりないこれらの車が突如、米安全保障上のリスクとされるなら、それはわれわれにとってショックだ」と述べ、会場から喝采を浴びた。

  ドイツのシンクタンク、Ifo経済研究所が15日公表したデータによると、ドイツ車に制裁関税が課されればドイツには打撃となる。同データによれば、米国が25%の恒久的な関税を課した場合、ドイツの対米自動車輸出はおよそ50%に相当する約170億ユーロ(約2兆1200億円)減少する可能性がある。

メルケル首相:ドイツ車が安保上のリスクとの米政権の主張に反論 - Bloomberg

 トランプ大統領が本気で自国の自動車産業を回復させようとしているのであれば、ドイツのような聞き分けの悪い国には高関税を課す可能性は高いといえます。それどころか、日本のような聞き分けの良い国に対しても、今後の展開次第では自動車に対する関税や輸入制限が課される可能性があります。それでも、日本と比較すれば、ドイツへの対応が激しくなるはずで、中国からも遠ざけられ、アメリカからはこん棒で殴られるという未来像がドイツを待ち受けているといえるでしょう。

 最後に、これは推測ですが、中独間があまりもめるようであれば、中国側がドイツ車に関税措置をとるかもしれません。そうなれば、世界に誇るドイツの自動車業界は壊滅的な打撃を受けるでしょう。