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米大統領教書演説

日本人の知らないトランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く

 トランプ大統領は何を語ったのでしょうか。簡単に振り返っておきましょう。

 「 トランプ米大統領は5日夜(日本時間6日午前)、上下両院合同会議で今後1年の米国の内政と外交の施政方針を包括的に示す一般教書演説を実施した。上院を与党の共和党、下院は野党の民主党がそれぞれ過半数を握る「ねじれ議会」のもとで政策停滞を避けるため「今こそ超党派で行動するときだ」と提唱。インフラ投資や移民規制の強化などの実現へ協力を訴えた。
 トランプ氏にとって就任後2回目の一般教書演説で、テーマは「偉大さの選択」。「政治的な膠着状態をともに打破し、新たな協調体制を作ろう」と党派対立の解消を呼びかけた。
 経済分野では530万人の新規雇用を生み出したなどとして「空前の経済繁栄だった」と2年間の実績を誇示。インフラ投資に関して「与野党は老朽化したインフラの偉大なる再建へ結束できるはずだ」と主張した。
 移民政策に関しては「米国民の生命や雇用を守る移民制度を作り出す道徳上の義務がある」と主張。看板政策であるメキシコとの「国境の壁」建設の必要性を力説した。民主は壁は不要との立場で、与野党の溝は大きい。
 外交・安全保障政策では「米国の国益を第一に据えた政策を追求する」と述べたうえで「偉大な国は際限なき戦争は戦わない」と強調した。アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの交渉を踏まえ、同国に駐留する約1万4千人の米軍の規模縮小を目指す方針を示した。シリアの駐留米軍の撤収方針も改めて示した。
 ロシアに破棄を通告した米ロ間の中距離核戦力(INF)廃棄条約にも触れ、中国など他国も加えた新たな枠組みの交渉に意欲を示した。
 一般教書演説は政府機関の一部閉鎖に至った与野党対立のあおりを受け、当初の1月29日の予定が延期された。同演説の延期はレーガン政権下の1986年以来。」

「今こそ超党派で行動を」 トランプ氏が一般教書演説 (写真=AP) :日本経済新聞

 この教書演説の内容を見る限りでは、2019年の経済政策は、インフラ建築(のための計画)になるでしょう。さらに、メキシコ国境を超える不法移民の取り締まりはますます厳しくなるのは明白でしょう。

 ただ、国際関係においては、シリア・アフガニスタンからの撤退を主張しており、同盟国に対して負担が重くなることは避けられそうにありません。これはNATO加盟国にとっても、日本にとっても同様です。

 そしてINF条約にかわる枠組みに関しては、ロシアと中国がアメリカと対立する方向を選んでいる以上、少し難しいといえます。

 今回の教書演説は、少なくとも、雰囲気だけは、賃貸していたトランプ政権の小規模な起爆剤にはなったようです。ペロシ下院議長とうまく渡り合えるかが、今後の焦点になるでしょう。