「私たちはそれをハムスターホイールと呼んでいる」
アクセスを求めて、動物ネタに走ったわけではないですよ(笑)。ただ、映像があまりに愛らしく、冒頭に掲げるのもやぶさかではなかっただけです(爆)!
今回はMarine Times からの紹介です。海兵隊の皆さんがどのような活動をしているのか我々日本人はほとんど知りません。参考になれば幸いです。
「海兵隊は、この太平洋の沖縄に配備されているのですが、ビーチ、サンゴ礁、世界的に有名なスキューバダイビングを楽しむ時間はあまりありません。
事実、ここに駐留している海兵隊員の中には、沖縄で過ごす時間がほとんどないといっているものもいます。容赦無用の作戦のテンポのために、海兵隊第3派遣軍は太平洋全域を常に往復しているためです。
海兵隊第31遠征軍のタイル・ウォレス大佐は、沖縄のキャンプコートニーにある海兵隊派遣軍本部での最近のインタビューで、「私はそれをハムスターホイール(gerbil wheel)と呼んでいる」と述べました。
「海兵隊としての職能を学び訓練するのに、非常に高い作戦のスピードでおこなっています」
「早く良くできるようになりたければ、良いチャンスです」と彼は語っています。
10年前、沖縄は、イラクとアフガニスタンに常時配備されていたキャンプ・ルジューン(Camp Lejeune)とキャンプ・ペンデルトン(Camp Pendleton)の兵士達にとって、沖縄は、激しい展開のサイクルのなかでは、休息の場所でした。
しかし、今では、中東への展開はまれになっています。そして、アジアでは、北朝鮮のようなホットスポットや、この地域での激しい地政学上の競合関係のために、第3派遣軍は、沖縄、ハワイ、岩国、それにオーストラリアのダーウィンに頻繁に派遣されているのです。
「沖縄に駐留する部隊が、沖縄の外に派遣され、訓練を受ける機会が爆発的に増加しています」と、海兵隊第3師団の作戦担当士官のスコット・フォスダル大佐は述べています。海兵隊第3師団は、海兵隊第3派遣軍の地上部隊で、フォスダル大佐にとっては今回が3度目の沖縄です。
CSISのアジア専門家、カール・ベイカー氏は、この地域における最も重要な新たな脅威は、北朝鮮が急速にミサイル開発を進めていることですと指摘しています。
もし北朝鮮が韓国を侵略すれば、第31回海兵隊派遣軍は先頭に突入する最初の部隊となるでしょう。
一方、中国軍の成長は、特に東シナ海と南シナ海での米海兵隊のアジアでの運用テンポを加速させています。
「中国の海軍能力と沿岸警備隊の拡張は10年前よりも重要になっています」とベイカー氏は述べています。
中国の封じこめのために、海兵隊員がシンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシアなどの国々と頻繁に安全保障協力演習を行うようになっているのです。
中国とのもう一つの衝突点は、東シナ海の無人島の尖閣諸島であり、日本が支配しているが中国も主張しているといっています。
沖縄の海兵隊員たちは、中国軍がこれらの島に侵攻した場合に、水陸両用戦に備えるために、自衛隊と並行して作業を行っている、とベイカーは語っています。
海兵隊員もフィリピンにも戻っています。論議を呼んでいるフィリピンの大統領、ロドリゴ・ドゥテルテは、バラク・オバマ元米大統領を「娼婦の息子」と呼び、米国の特殊部隊に国外退去を命じました。
しかし、10月初めには、フィリピン軍と海兵隊第三派遣軍が、カマンダグ(Kamandag)と呼ばれるフィリピンの新テロ対策や災害対応演習に参加しました。その際には、「フィリピンと米国の軍の間の緊密なパートナーシップ」が強調されたことは言うまでもありません。
海兵隊によれば、米軍が関心を持っており、太平洋軍の管轄にある20数カ国の全ての国に、海兵隊第3派遣軍Iの海兵隊員たちは、1日で移動できるとのことです。
来年、海兵隊第3師団には、一つの小隊規模のものから代替規模のものまで、70の演習とミッションリハーサルがあるとフォスダル大佐は述べています。同部門は、フィリピン、韓国、グアム、タイ、そして日本本土周辺に大規模な展開をしている、と彼は語っています。
アジアでは作戦がミックスされるために、海兵隊第31派遣軍には、独自の展開サイクルが課されています。米国に拠点を置く陸軍の他の6つの海兵隊部隊とは異なり、前方に配備された海兵隊第31派遣軍の配属は、通常の6ヶ月または7ヶ月の期間よりはるかに短く、かつ頻繁に行われます。
ダーウィンのオーストラリア軍を除いて、各歩兵大隊と砲兵砲兵隊は、沖縄から何らかの形で派遣されて3〜4ヶ月を費やすことになります。
「沖縄やハワイに加えて、フィリピン、キャンプ・フジ、そして通常は韓国に分隊がある」とフォスダル氏は述べています。
「航空機と地上の施設を組み合わせて、国から国へと海兵隊とその機器を移動させるには、米国本土での訓練では不可能な部隊のスタッフの計画と実行力が必要になります」と彼は語っています。
大隊のスタッフが、それぞれが異なる国に展開する複数のコマンドグループに分割されるのは珍しいことではありません。
「たとえば、ある大隊に、ライフル中隊と軽装甲偵察中隊があったとすれば、偵察中隊と海兵隊兵站グループは北海道で自衛隊と演習、大隊司令部とライフル中隊は、韓国で韓国海兵隊と演習といったことがあります」
「その間にも、その大隊の第3ライフル中隊がシンガポールとインドネシアに派遣されています。」
「その大隊は一旦韓国に集結した後に、沖縄に帰還しました」とフォスダル大佐は締めくくりました。」
A hectic pace in the Pacific: III MEF Marines face far-flung missions as Asia threats grow
沖縄の海兵隊の勤務の過密度合いが伝わってくる記事ですね。そういえば、マティス国防長官も、マクマスター安全保障担当補佐官も、ジョン・ケリー首席補佐官も海兵隊出身でしたね。彼らは、現場のこうした事情もよく知っているはずです。ですから、彼らが、簡単に海兵隊を動かすというのは考えにくいのです。トランプ大統領は、軍事に関しては素人ですから、彼らには意見が出来ないでしょう。
したがって、北朝鮮問題も、慎重に慎重を重ねて動員計画が立てられていると考えた方が良いでしょう。