米中武力衝突の際には、核使用の可能性も
Dr.Strageloveでのstrangeは「奇妙な」というニュアンスもあるので、「博士の奇妙な愛情」でもOKだとおもいます。そんなことより、中国です。
「 米ジョージタウン大学の安全保障の専門家が、アメリカと中国が武力紛争に突入する恐れがこれまでになく高まっており、それが核戦争へと拡大する可能性も多くのアナリストが考えるより高いと論文で警告した。
この専門家はジョージタウン大学外交政策大学院のケイトリン・タルマッジ准教授(安全保障)。外交専門誌フォーリン・アフェアーズの11~12月号に掲載された論文で、米中間で軍事的緊張がエスカレートしていく恐ろしいシナリオを説く。
「こうした衝突が核戦争になる確率は、大半の政策立案者やアナリストが考えるよりも高い」とタルマッジは書く。ただし「米中間で戦争が起きる可能性は今も低い。だが、以前ほど蓋然性は低くない印象だ」という。
タルマッジによれば、米中両国のアナリストの多くは総じて、核兵器を使った武力衝突の可能性を完全に否定している。だが近年の紛争で米国防総省が好んで採用してきた戦術を分析すると、「短期間に敵の主要な戦力を最少の犠牲でつぶすために、相手の領土の奥深くを」叩くことが米軍の戦略の1つになっているという。「国防総省はアフガニスタン、イラク、リビア、セルビアとの戦争でこの手法を確立したが、どの国も核保有国ではなかった」とタルマッジは書いている。(以下略)」
米中武力衝突の危険高まる、核使用の可能性も──米論文 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
これだけではにわかに判断できませんが、紹介されている論文の趣旨では、アメリカが中国を先制核攻撃するということのようです。
米中が軍事衝突を起こした場合、むしろ、核の先制使用に踏み切るのは中国であるようにも、個人的には思えます。
そもそも米ソで核戦争が生じなかったのは、
1.第二次大戦での激戦の記憶がある
つまり、アメリカでは硫黄島、沖縄での苦い経験があり、ロシアはスターリングラード攻防戦で、危うく国家を失うところでした。強敵との激しい戦いの記憶が冷めやらないうちに、新たな戦争には乗り出しにくかったのです。
2.核兵器使用の記憶
さらに付け加えるならば、広島・長崎のことも念頭にあったに違いありません。実際に、核兵器が使用されていなければ、50年代から60年代にかけて、核兵器の組織的使用により人類は深刻なダメージを被っていたでしょう。
ここで中国の立場に立ってみれば、彼らにはスターリングラードや硫黄島のような激戦の記憶がありません。それ以前に、国家と国家が正面から対峙する全面戦争の経験がありません。そして、その伝統もないのです。あるのは、兵器のパフォーマンスの比較だけ。我が方の武器が性能が優れているから勝てるはずだという憶測にすぎないのです。しばしば量は質に転化しますから、中国製の半端な武器でもいずれは米軍を上回ることでしょう。米軍が恐れているのもまさにそこで、最近になって中国に対して対決的姿勢をとるようになったのも、その臨界点が近いという認識によるものです。
仮に米中が軍事衝突に突入しても、この2~3年であれば、米軍が負ける可能性は低いでしょう。ですから、逆にアメリカの側の開戦意欲が強いともいえるのです。来年からはその前哨戦が始まります。楽しみですね(笑)。