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トルコで始まる米ロの角逐

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 アメリカ側の通訳抜きという外交上のプロトコールを無視した会談だったようですが、その内容の一部が伝わってきました。

 ロイターからです。
 「ティラーソン国務長官は、米国はシリアのクルド人民兵に重火器を「決して」与えていないと述べた。
 トルコ訪問前にベイルートで語ったティラーソン国務長官は、人民防衛部隊やYPGと呼ばれるクルド人民兵から重火器を取り戻すことに関する質問に答えた。 アンカラはYPGをテロリストグループとみなしている。 YPGはイスラム過激派との戦いにおける米国の主要な友軍となっている。
 「YPGに重火器を与えたことは一度もなかったので、取り返すものはない」とティラーソン氏は語った。
 YPGを武装させるワシントンの計画は、トルコと大きく意見が分かれている問題であった。 トルコの当局者は、ドナルド・トランプ米大統領は、民兵はそれ以上の武器を受け取らない、と語った。 ホワイトハウスは、それを「軍事的支援への調整」と呼んだ。」

Tillerson: Kurds never got heavy weapons from US

 確かにティラーソン国務長官は否定していますが、だからと言ってYPGが重火器を所持していないということにはならないでしょう。なぜならば、YPGが放置されていた重火器を鹵獲したという可能性も捨てきれないからです。これはあくまで噂ですが、イスラム国が誕生した時も、西側による支援があったのではないかと噂されていました。ですから、この点に関してはまだわからないというのが正直なところです。

 ティラーソン国務長官が、外交プロトコールを破ってまでトルコに融和的であるのは、中東でこれ以上ロシアの影響力が拡大するのは避けたいと考えているからにほか有りません。
 ただ、これ以上中東でロシアの影響力が強くなることも望んでいないのも確かです。たとえば、米空軍はロシアの戦車をドローンで破壊し、兵士を三名殺害しています。

米国空軍中央司令官は1月23日、シリア東部でロシア製T-72戦車を自衛のために破壊したことを明らかにした。
 ニュースの報道によると、戦車内の3人が殺された。
 空軍中将ジェフリー・ハリジアン(Jeffrey Harrigian)が語ったところにいよると、米軍は数時間にわたりドローンを使用し、地上から戦車の反撃を受けたので空爆を行った。
 ハリジアン将軍は「我々は戦車を確認し、その戦車が我々に対して発砲した」とAl Udeid Air Baseからの電話会議で語った。
 「引き続き動いてきたので、自己防衛のためのルールに従った。私たちには常にそうする権利を持ち、私たちがそうすることができる立場にいることを明らかにするだろう。」とハリジアンは付け加えた。
 フォックス・ニュースは火曜日、ロシアの戦車を破壊した米国製MQ-9リーパー・ドローンであり、車両内の3人が死亡したと報じた。(以下略)」

US destroys Russian tank in Syria, reportedly killing three | TheHill

 たしかに、中東からイスラム国の脅威は去ったといえるでしょう。しかし、そのあとは、トルコなどの周辺諸国を巻き込んだ米ロの対立が始まっているとみるべきでしょう。

 この記事で興味深いのは、カタールの基地を拠点とするドローンであったことです。カタールと作治アラビアを中心とする周辺のアラブ諸国の断交はまだ解決しておらず、この点も気にかかります。