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中国通商交渉の行方

ある通商国家の興亡 カルタゴの遺書 (PHP文庫)

 中国という国家が滅びるとすれば、それは何らあたらしいものを産み出すことができなかったこと、人間性に反する行動が多すぎたことにつきます。トランプ政権の譲歩にもかかわらず、米中関係はクライマックスに向けて突き進むことでしょう。

  中国通商交渉の行方は、習近平体制が、いわゆる中国産業政策をグローバル・スタンダードに合致させるか否かにかかっています。

 この点を習近平が公式に認めるのかどうかがこの度の米中首脳会談の焦点になるでしょう。具体的には、知的財産権の保護、資本や人材の移動の自由の確保、一帯一路政策の放棄を中国が受け入れるかが問題になります。

 それとはまた別に、ファーウェイ社への対応は厳しいものになりそうです。最近の話では、ファーウェイの研究所がFBIにより家宅捜索されています。これは、ファーウェイに送ったサンプル品が破壊されていたため、サンプル品から情報を入手しようとしたという疑いがあったためですが、副社長が捕まり、各地でファーウェイ製品のボイコットが始まっているので、ZTEと同様に、先行きは暗いといえます。

 ただ、「中国産業政策をグローバル・スタンダードに合致させる」という点で、合意を見たとしても、中国がアメリカの覇権に挑む姿勢には変化がないでしょう。ですから、中国に対するハイテク製品の輸出禁止措置が今後は採用されると見られます。つまり、米中の通商関係はもう元に戻ることはなく、一旦和らいでも、またぶり返すということです。