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台湾の状況の変化と日本の運命

 

  米大統領選が最終的に終わりました。戒厳令を実施しなかった段階でゲームオーバーであったわけで、 これはこれで仕方がありません。しかし、これで仕方がないと言っていられないのが台湾です。

  大統領がバイデンに替わったことで、中国は台湾攻略がしやすくなりました。しかし、その以前に、武漢ウイルスの責任問題があります。何十万人も死んでいるアメリカが、バイデン政権だからと言ってだんまりを決め込むことが出来るとは思えません。いずれにせよ、東アジアを巡る情勢はいつ火がついても仕方がないと言う現状でしょう。そこで、今回の国連大使の話です。

「 ポンペオ米国務長官は7日、クラフト国連大使が近く台湾を訪問すると声明で明らかにした。具体的な日程には言及しなかった。ポンペオ氏は「台湾は信頼できるパートナーであり、中国がその偉大なる成功に水を差そうと画策しているにもかかわらず、活気に満ちた民主体制が花開いている」と称賛した。
 台湾は、中国の国連加盟を受け1971年に国連を脱退しており、国連大使の訪問は極めて異例。
 クラフト氏は昨年9月に開かれた会合で「世界は台湾が国連に完全加盟することを必要としている」と述べ、台湾の国連復帰を支持する考えを示していた
 国務省はまた、米国と台湾による毎年恒例の政治・軍事対話を6日にオンライン形式で実施したと発表した。国務省からはクーパー次官補が出席した。対話の内容については明らかにしていない。米国から台湾への武器売却など、中国の脅威などをにらんだ台湾支援策について話し合われたとみられる。」

米国連大使が近く訪台へ - 産経ニュース

 アメリカは台湾をあきらめるのでしょうか。台湾の半導体産業はどうなるのでしょうか。その中国は台湾から人材の供給しているようです。

「 中国半導体大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が新たな経営体制を発足させた。米国からの制裁が強まるなか、経営首脳4人のうち3人を台湾半導体大手の出身者で固めた。豊富な経験を持つ台湾人材の協力を得ることで、米制裁下でも半導体の技術力などを高め、国産化を推進する。
 SMICが2020年12月31日に発表した新体制によると、半導体技術に関わる最高幹部は全部で4人。経営トップの中国人の周子学・董事長(64)を除き他3人は全て「台湾人材」で固めた。
 中国SMICのナンバー2に就任した台湾人の蔣尚義氏=中央通信社
ナンバー2の副董事長に台湾人の蔣尚義(74)氏を新たに招いた。蔣氏は13年末まで台湾半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)に在籍した人物だ。創業者で最高経営責任者(CEO)を務めた張忠謀(モリス・チャン、89)氏の信頼が厚く、当時3人いた最高執行責任者(COO)のうちの一人として経営を支え、次期CEO争いも演じた人物だ。
 その後、蔣氏はTSMCを退任し、16年にSMICの社外取締役に就任し中国に渡る。さらに19年には中国新興の有力半導体メーカーの武漢弘芯半導体製造(HSMC)の総経理(社長)に就任し、業界を驚かせた。だが今回のSMICのナンバー2就任はそれ以上の衝撃を持って、業界では受け止められている。
 蔣氏はもともと米テキサス・インスツルメンツ(TI)などに長く勤め、半導体技術を磨いた。その後TSMCで研究開発部門を率い、特に半導体の回路線幅を微細化するコア技術「EUV(極端紫外線)」に精通した。
 ここが今回の蔣氏起用の最大のポイントとなる。昨年12月18日、米政府は安全保障上問題があるとみなす企業のリスト「エンティティー・リスト」にSMICを加えた。特に回路線幅が10㌨(㌨は10億分の1)㍍以下の最先端の半導体を製造するために必要な製品の供給を禁じた。
 具体的にはEUV関連装置をSMICに供給するルートを遮断した。だがEUV人脈にも精通する蔣氏の起用で、SMICはこの危機を乗り越える狙いがあるとされる。実際、蔣氏の起用は米制裁発表後わずか2週間で決まった。
SMIC新体制でナンバー3の共同CEOに就いた趙海軍氏(57)も蔣氏と同様、米TIで技術を磨いた人物だ。中国人だが台湾大手の茂徳科技で副総裁を務め、台湾の半導体事情に精通する。
 同じくナンバー3の共同CEOに就いたのが、台湾人の梁孟松氏(68)。蔣氏と並ぶ新体制のキーマンだ。台湾のTSMCで長く蔣氏と上司部下の関係にあった。研究開発部門の責任者も務めたが、17年にSMICに転身。同社を中国最大の半導体企業に育てた最大の立役者で「10年かかる技術向上を3年で実現させた」(台湾経済研究院の劉佩真氏)。
 梁氏はSMICが蔣氏の登用を決めたことで自らの処遇に不満を持ち、いったんは辞表を提出した。だが結局は残留を決めた。今後はTSMC出身の台湾人師弟コンビがSMICで中国の半導体国産化を強力に推進する。
 もともとSMICは、中国側の要請を受けて台湾人の張汝京(リチャード・チャン)氏が00年に創業した。張氏は当時、台湾で経営していた半導体メーカーをTSMCに売却し、技術者を引き連れてSMICをつくった。TSMC創業者のモリス・チャン氏とは米TIで部下と上司の関係だ。そのTSMCは09年にSMICに10%の出資をしている。モリス・チャン氏とSMICトップの周氏は同じ浙江省出身という縁がある。SMICを創業した台湾人の張氏は今でも「中国半導体業界のゴッドファーザー」と呼ばれ、今も昔もSMICは台湾丸抱えの企業というのが、実際のところだ。
 中華圏でのビジネスは人脈が命だ。半導体技術は人に宿る。最近、米国は半導体に強い台湾に接近して連携を深め、中国には制裁を科し半導体技術の向上を封じ込めたかにも見える。だが実際には中国の半導体をけん引するSMICを台湾人が今も支え、中台が連携を深める。米国の制裁が今後、どこまで実効性を持つのかは不透明だ。
 技術を持った人材は容易に国や地域の壁を越え、そこには各国も規制をかけづらい。台湾にも日本大手で活躍した半導体技術者が大量におり、TSMCの最先端の生産を支えているのが実態だ。」

中国SMIC、台湾から経営陣 米制裁下で技術習得 : 日本経済新聞

おそらくは数年以内に中国本土でも最新鋭の半導体が製造できる可能性が高いということになります。そうなれば、中国と米国の軍事バランスに直結することになります。之は日本に取っては深刻な事態でしょう。