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中国の海軍力を過小評価してはならない

 

 英国の防諜機関と言えばMI5、いわゆる保安部ですが、MI5新局長も敵は中国と断言しています。

 「 国内の情報活動を担う英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム新長官は14日、中国のスパイ行為への対策を「さらに強化する」方針を明らかにした。英国に敵対的な複数の国による脅威が高まっていることが背景にある。
 4月に長官に就任したマッカラム氏はテレビ電話を通じて初の公式会見を開き、情報機関は優先順位をつけがたい様々な脅威に対峙していると強調した。
 長官は「ロシア、中国、イランなどによる安全保障を脅かす行為は一段と深刻で複雑になっている」と指摘。「卑劣なテロ行為は一向に収まらない上に、国家ぐるみの敵対行為も増えている」と語った。
 中国政府のスパイ行為は主に「企業の極秘情報や機密データ、知的財産のハッキング」だとする一方、中国のスパイが政治に影響を及ぼそうとするケースも確認されていると明かした。MI5とベルギーの情報機関は9月、欧州連合EU)に関する情報を収集しようとした中国の作戦を阻止している。
 マッカラム氏は「英国は気候変動などグローバルな問題では中国と協力する構えだが、敵対的なスパイ行為には断固立ち向かう」と強調。「(MI5は)優先順位を慎重に見極めながら、中国対策を強化していく」と語った。
 マッカラム氏の発言の背景には、英情報機関がロシアなどからの脅威を軽視しているとの批判がある。英議会の情報安全保障委員会は7月、MI5などの情報機関が「事実の究明を放棄」したまま、ロシア政府が英国の選挙に干渉した疑惑の解明に取り組んでいないと非難した。
 マッカラム氏はEU離脱を決めた2016年の国民投票にロシアが干渉した疑いについて、MI5は調査したものの「重大な証拠」は見つからなかったと主張した。一方、(プーチン大統領が正式就任した)2000年代初めに英情報機関がロシア政府からの脅威に対して十分な人員や予算などを割いていたかという点については「疑問の余地がある」と認めた。
 さらに、短期的に英国を「最もいら立たせている」のはロシアだとしつつも、「今後10年間に世界のありようを変え得るのは中国だ」との見方を示し、「ロシアの情報機関が悪天候を引き起こすとすれば、中国は気候変動を誘発しようとしている」と指摘した。
 マッカラム氏はMI5に25年近く所属し、キャリアの大半をイスラム過激派と北アイルランド関連のテロ対策に費やしてきた。MI5はこの4年間で27件のテロ計画を阻止しており、うち8件に極右勢力が関与している。極右によるテロ行為は「増加傾向にある」とマッカラム氏は懸念を示した。
 一方、新型コロナウイルスパンデミック(世界的大流行)に伴い、スパイ活動の優先順位が変化しつつあるとも指摘した。「大勢の人が集まる機会が減ったため、テロリストは(不特定多数を狙ったテロから)別のターゲットに目を向けている」という。そこでMI5がここ数カ月注力しているのが、外国スパイによる英ワクチン研究関連施設への侵入阻止だ
 英国の通信傍受機関、政府通信本部GCHQ)傘下の英国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、ロシア政府が支援するハッカーが英ワクチン研究関連施設に侵入を企てていると非難している。一方、米情報機関は中国が米ワクチン開発企業などへのハッキングを仕掛けていると警告している。
 マッカラム氏は「多くの死者を出した新型コロナウイルスのワクチンを最初に実用化する世界的意義は大きい。このため、世界各国の様々な関係機関がワクチン開発研究に大きな関心を抱いている」と述べた。
 情報機関は知的財産の略取、研究データの改ざん、ワクチン開発の信頼性に関する虚偽情報の拡散に目を光らせている。
 MI5は英政府の新型コロナ対策を支援するため、バイオテロ対策にも向き合っている。「有毒化学物資について取り組んできた研究手法が特定環境下での新型コロナの飛沫拡散状況の究明にも活用できるかどうか」検討中という。」

新型コロナ:[FT]英情報機関のスパイ対策、ロシアより中国優先 (写真=ロイター) :日本経済新聞

マッカラム新長官のこれまでのキャリアは、北アイルランド問題にイスラム過激派対策だったわけですが、ある意味MI5の一番日の当たる分野を歩いてきたとも言える人です。その新長官が新たな脅威は「中国」と名指しするのは、英国政府の中国に対する警戒心の深さを示しています。とにかく、現在の英国は中国を信用していないのです。

 中国と英国が宥和する可能性は非常に低いと言えます。新空母クイーン・エリザベスを極東に派遣するということは、中国とはケンカをする意欲は十分にあるという事でしょう。中国政府はこの状況をどう捉えているのでしょうか。アメリカをぶちかましたら、他の国も言うことを聞くとでも思っているのではないでしょうか。アメリカをぶち任すには、現在の中国の兵器体系では不可能でしょうから、ここは核兵器を使うという選択肢を選ぶのではと考えられます。少なくともアメリカよりも遅く発射することはないでしょう。