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そして、誰もいなくなった

そして誰もいなくなった (ハヤカワ・ジュニア・ミステリ)

殺人事件があったわけではないのですが、オーストラリアの記者が中国からいなくなってしまいました。これはある意味ホラーですわ。

 「 中国に常駐するオーストラリア記者が全員撤収した。7日、中国の北京と上海で勤務していたオーストラリア記者2人が脱出するかのように中国から出国した結果だ。オーストラリアと中国が1972年に修交して以来、ほぼ50年ぶりに中国常駐のオーストラリア記者「ゼロ時代」を迎えた
 香港明報やサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)、中華圏のインターネット・メディア多維などの9日の報道をまとめると、2人のオーストラリア記者が、中国国家安全部の召喚通告を受けた後、身の危険を感じて中国駐在オーストラリア公館に避難し、中国から出国した。
 オーストラリアABC放送局のビル・バートルズ北京特派員とオーストラリアン・ファイナンシャル・レヴューのマイク・スミス上海特派員は先週、中国国家安全部から調査が必要なため当分中国から出国してはならないという通知を受けた。
 理由としては、先月14日から中国当局が調査中の中国系オーストラリア人の成蕾キャスターとの関係性の有無が挙げられた。成蕾キャスターは中国中央テレビ(CCTV)の英語放送チャンネル「CGTN」のニュースキャスターとして活動中に突然逮捕され、衝撃を与えている人物だ。
 成蕾キャスターの逮捕は、先月31日にオーストラリアのマリズ・ペイン外相が初めて明らかにした。逮捕から半月が過ぎてから事実が公表された。中国は8日、趙立堅外交部報道官が「中国の国家安全を害する犯罪行為により調査中」と発表した。
 これを受け、身の危険を感じたバートルズ特派員は北京のオーストラリア大使館に、スミス特派員は上海のオーストラリア総領事館にそれぞれ避難した。バートルズ特派員によると、先週中国国家安全部要員が自宅を訪問し、国家安全の問題で調査が必要だと述べたという。
 これに先立ち、バートルズ特派員はオーストラリアの役人からも中国を出た方が良いと忠告され、当初3日頃に帰国を予定したが、中国の出国禁止通知を受けて大使館に避難することになったと述べた。
 バートルズ特派員は成蕾キャスターを知っているが親しい間柄ではなく、上海のスミス特派員は成蕾キャスターに一度会っただけなのに、中国当局が調査しようとしているのは、特定の事案の問題のためでなく、日増しに悪化するオーストラリアと中国の関係による政治的行為と考えたと説明した。
 中国内のオーストラリア公館に避難した特派員2人の問題について、先週オーストラリアと中国当局が交渉した結果、6日日曜日に2人がオーストラリア公館で中国当局の調査を受ける条件で出国禁止解除が行われた。
 彼らは中国当局から容疑者ではなく参考人程度として成蕾キャスターに関する調査を受けた後、7日に中国を出国し、8日にオーストラリア・シドニーに到着した。無事に中国脱出に成功したのだ。
 一方、6日に中国行きを予定していた「ザ・オーストラリアン(The Australian)」のウィル・グラスゴー特派員はオーストラリア政府の忠告により飛行機に乗らなかった。これにより、オーストラリアは中国との修交以来初めて、たった1人の常駐記者も中国にいない時代を迎えることになった。
 オーストラリアは最近、中国と事あるごとに摩擦を生じさせている。南シナ海紛争と香港事態などでオーストラリアが中国を猛非難したこともあるが、決定打は4月にオーストラリアが新型コロナウイルス感染症事態の起源について中国に対する独立的調査をしなければならないと主張したことだ。
 中国は激怒してオーストラリア産の麦、ワイン、牛肉の輸入に相次いで制限をかけ、オーストラリアを圧迫した。しかし、中国駐在のオーストラリア人ジャーナリストの調査を触発したのは「白色テロ」に近いオーストラリア国情報機関だと中国新華社が8日に主張し、注目されている。
 新華社中国新聞社などによると、6月26日未明、オーストラリア国情報機関要員がオーストラリア常駐の新華社など中国メディア3社の記者4人の宿泊先を家宅捜索した。新華社は、オーストラリア当局が「長時間、中国の記者を尋問して携帯電話やパソコン、USBメモリなどを押収した」と報じた。
 また、中国記者の原稿も持ち去り、このような事実を外部に知らせないように指示したという。オーストラリアの情報機関は同日、中国に友好的な発言をしてきたオーストラリア・ニューサウスウェールズ州のシャケット・モスルマン労働党議員の自宅と事務所も捜索した。
 新華社は「民主と自由、人権」を訴えるオーストラリアという国で起こったこのようなことが「白色テロ」でなければ何なのかと主張した。このような新華社の報道を見ると、成蕾キャスターなど中国駐在のオーストラリア人ジャーナリストに対する調査には、これに対する報復の意味合いとも読み取れる。」

オーストラリア記者が全員、中国を去った…1972年の修交以来初めて | Joongang Ilbo | 中央日報

 先日のチェコと同じで、格下と思った国家は徹底的に小馬鹿にするのが現代の中国なのですね。日米戦争の時ですら、日本人ジャーナリストはアメリカに残っていたはずです。国ごと全てのジャーナリストがいなくなるという事は、歴史的にも非常に珍しいといわねばなりません。まあ、これで中国もアングロサクソンに喧嘩を売った訳です。オーストラリアがファイブアイズの一角であることを中国は忘れたのでしょうか。

 この一件は、アメリカもしくは英国からきつい反撃を喰らうことになるでしょう。まあ、オーストラリアには金鉱山があるので経済的にはやっていけるのでしょうが。