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深刻な段階を迎えつつある香港

香港 返還20年の相克

 中国共産党の対香港政策は、完全に破綻してしまいました。

  習近平の立場としては、自分の在任期間中に、特に外交面で、「うまくいっている」という実績を作り上げなければならなかったのですが、一帯一路にしても、中国製造2025にしても、挫折に次ぐ挫折を味わっています。

 そこで目を付けたのが香港だったのですが、ここでも失敗ということになりそうです。

「 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐり、中国本土に近い新界地区の元朗で27日、デモ参加者への暴行事件に対する抗議活動が実施された。香港メディアによると、警察官が道路を占拠した参加者に対して、催涙弾やゴム弾を使って強制排除に乗り出した。
 香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、抗議活動の参加者数は数万人にのぼった。香港警察は「デモ参加者と地元住民が衝突する可能性が高い」として、27日のデモ申請を認めない異例の判断を下していた。
 だが午後3時ごろから大通りに人々が集まり、暴行事件や警察などに抗議するデモが強行された。午後5時すぎには警官隊が催涙弾を撃ち込む事態に発展した。
 元朗では21日、こん棒を持った白シャツの集団がデモ帰りとみられる黒シャツの若者らを無差別に襲い、45人が負傷した。香港警察はマフィア組織「三合会」の関与があったとしている。警察の現場到着が遅れたことなどについて地元では批判が強まっている。」

香港で抗議デモ、警察が催涙弾 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 今回のデモは、抗議活動に三合会からの暴力行為がみられたことに対して行われたのですが、これではかえって三合会が中国共産党の回し者であることを実証した形になっています。ギャングと手を組んだ中国共産党というのは、よく知られた話ですが、それが国際社会に対しても明らかになったという点で、今回の抗議活動は意味があったといえます。

 今回の中国共産党のミスは、香港の問題を台湾にまで波及させてしまったことです。今回の一件さえなければ、台湾総統選で、鴻海の元社長であるテリー・ゴウが国民党代表に就任することも可能でした。しかし、中国の介入を警戒する世論の高まりにより、テリー・ゴウの支持率は急降下、総統選への立候補もほとんど不可能になってしまいました。習近平が香港を弾圧すればするほど、こうした副次的効果は大きくなっていきます。そして、中国共産党こそが、人権蹂躙国家であることが誰の目にもわかるようになるでしょう。言い換えれば、国家の存続のための理由が消滅するのです。何らかの公共性のない国家は、すぐに消滅するものです。中国は着実に崩壊に向けて進んでいるといえます。