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崩れるNATOの結束

 

ペレストロイカ

 「冷戦崩壊の時代」が崩壊しそうです。

  このままでは、米ロの間で冷戦期のような核による対峙が再開されます。

「 トランプ米政権による米露の中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄通告をめぐり、北大西洋条約機構NATO)は1日、「完全に支持する」との声明を発表し、米欧同盟の結束を示した。ただ、条約が失われることで、欧州が再び核軍拡競争の舞台になることへの不安も出ている。
 NATOは声明で、米国の破棄通告について露側の「重大な条約違反」が原因だと批判。失効までの6カ月の間に完全な順守状況に戻るよう求め、失効してもその責任は「ロシアが唯一負う」と断じた。
 一方、メルケル独首相は「今後半年間を対話に使う」と表明。NATOのストルテンベルグ事務総長も、ロシアに条約順守への説得を続けるとし、条約存続に向けぎりぎりまで外交努力を続ける考えを示した。
 欧州は東西冷戦時代、当時のソ連の中距離ミサイルの標的にされ、INF条約によりその核の脅威から解放された。条約がなくなってロシアが核戦力を拡大した場合、欧州は抑止力均衡を保つため米国による「核の傘」の増強に頼る必要に迫られる。こうした状況は、米ソの核軍拡の前線にあった欧州の悪夢を想起させるだけに、条約破棄には慎重論も強かった。
 米国の破棄通告表明を受け、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表は「超大国の対峙(たいじ)の場に戻るのを見たくない」と強調した。旧ソ連圏にあったハンガリーのシーヤールトー外務貿易相は「東西対立で敗北するのはいつも中欧だ」と悲観している。
 NATOでは今後の対応をめぐる温度差も垣間見える。ドイツでは「核増強は誤った回答」(マース外相)との声が出る一方、ロシアへの警戒感が強いポーランドは自国へのミサイル配備も排除しない姿勢だ。今後の議論次第では加盟国の結束が試される。」

NATO、INF破棄支持で結束 核軍拡に不安募る - 産経ニュース

 ロシアとのパイプラインもあり、できれば事を構えたくないのがドイツとすれば、ロシアの圧力に今から何としても抵抗しておきたいポーランドの間で意見が分かれていることがわかります。この点では、バルト三国ポーランドと同じスタンスをとることでしょう。

 現実問題として、ロシアによる中距離核兵器の配備が東欧国境線付近で進めば、ヨーロッパにおける核戦争の悪夢が再び復活することになります。それに対して、独自の核を持つフランスはどう対応するのかも大きな問題になるでしょう。英国は、NATOの一員ということもありますが、相次ぐエージェント毒殺事件などにより、世論は反ロシアに傾いていますので、ロシアとの融和は可能性が低いでしょう。

 これで、極東、中東とならんで、ヨーロッパも大戦争の危険が高まることになるます。今回のINF廃棄により一番不利になるのがヨーロッパであり、逆に、中国を含めた改訂版INFが主張されるという意味では、日本にとって有利といえます。たとえ、中国が核を使うとしても、これでNATOから反撃の核ミサイルが中国めがけて発射される可能性は非常に高まったといえます。

 とはいえ、残念なことですが、全体的に見れば、核戦争の危機は増しているといわねばならないでしょう。