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金正恩、IAEAの査察を受け入れか

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 果たして実現するのか疑問視されていた米朝首脳会談ですが、実現の可能性が高まってきました。それは、金正恩が核査察を受け入れると表明したためです。

 東亜日報からです。

北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長が、国際原子力機関IAEA)の査察受け入れを含め強化した非核化検証を受け入れる意向をトランプ米政権に伝えたことが分かった。豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄を宣言した金正恩氏がさらに一歩踏み出して非核化に向けた核査察・検証の可能性まで具体的に言及したことが伝えられ、米朝首脳会談を控え、両国間の水面下の非核化交渉が急展開している。

23日、韓国情報当局によると、今月初めにトランプ大統領の特使資格で極秘に訪朝したポンペオ米国務長官候補は、金正恩氏と会って、「完全かつ検証可能な」非核化が前提になってこそ米朝首脳会談に向けた本格的な実務接触に臨めると明らかにした。さらに、核廃棄の検証手続きを北朝鮮が受け入れるよう強く求めた。

これに対して金正恩氏は、トランプ政権が「誠意ある交渉」に出ることを前提に核凍結に続く申告、査察などの義務を受け入れることができると応じたと、韓国情報当局は見ている。特に、ポンペオ氏は、過去に北朝鮮が、IAEAの視察団を追放したことを取り上げ、短期間に集中的な核検証手続きが避けられないという考えを表明したという。また、必要なら視察団が追加で核施設を視察する「特別査察」の必要性も言及したという。金正恩氏はこのような要請に特に反対しなかったという。ただ、金正恩氏は、核査察の受け入れ時期や範囲などと関連してひとまず水面下で提案する反対給付を米国が十分に聞いた後、その水準を調整する立場だという。

トランプ氏は22日(現地時間)、ツイッターにNBC放送司会者のチャック・トッドが、米朝交渉で「北朝鮮が多くを得ている」と指摘したことに対して、私たちは何も譲歩していない。彼らが非核化と実験場の廃棄、実験中止に合意した」とつぶやいた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は23日、大統領府で開かれた首席・補佐官会議で、北朝鮮の今回の措置に対して「韓半島の完全な非核化に向けた重大な決定」とし、「南北首脳会談と米朝首脳会談を控え、北朝鮮の誠意ある措置を高く評価する」と述べた。」

金正恩氏、「IAEA核査察受け入れ」 : 東亜日報

 確かに、北朝鮮の非核化は喜ばしい進展であると言えます。それと同時に、いよいよ拉致被害者が相当数帰国する可能性も一気に高まりました

 ただ、トランプ大統領北朝鮮に対して、何を譲歩したのかが全く明らかになっていません。金正恩の命を保証以外にも、在韓米軍の縮小撤退にまで言及があったのではないでしょうか。

 このまま行けば、南北朝鮮は平和条約を締結し、朝鮮戦争は終了することになります。おそらくは連邦制の形態で、統一朝鮮が形を表すことでしょう。

 しかし、核を持たない北朝鮮は、米中ロのいずれかに貢献を求めなければならないはずです。しかし、現在の経緯を見る限りでは、統一朝鮮をアメリカが支える可能性は低いように思えます。

 とするならば、中国、若しくはロシアが新生統一朝鮮の後見役になるでしょう。いずれの場合でも、対日関係は悪化すると予想出来ます。今後数カ月の間は緊張緩和が進むでしょうが、ある段階でまた逆戻りすることでしょう。

 そして、根本的な問題は、北朝鮮は自らが開発したミサイル・核爆弾をそのままアメリカに差し出すのかという問題です。中国、若しくはロシアに隠蔽を依頼すれば、そして、暗黙の了解を得れば、本格的な核査察にも耐えられるでしょう。そうなれば、北朝鮮は、核の問題は棚上げにして、しばらくの間、経済開発に専念できます。

 逆に、アメリカの立場から見れば、隠されたミサイル・核を発見できるかが課題になります。

 このように考えれば、数カ月は宥和ムードに包まれるとしても、その後から問題が生じると考えられます。朝鮮半島が平和になるのはまだ先のことでしょう。