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ファイブ・アイズ+フランス

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 ファイブ・アイズといえば言わずと知れた、世界に名だたるシギント連合です。そこにフランスが加盟したというのですから驚きです。写真はDRMのサイトから。

 ディフェンス・ニュースからです。
 「フランス当局は、定期的にワシントンでファイブ・アイズの会合に出席している。これはフランスに貴重なデータを収集し交換する能力があることを反映しているとフランス軍情報部(DRM)のシリル大佐は述べた。
 「我々には重要なインテリジェンスがあるということが理解されたんだ」と、彼はフランス防衛関係ジャーナリスト協会の会見で述べた。その場でシリル大佐はDRM部長のジャンフランソワ・フェレの要求に応じて発言した。
 その会合は「ファイブ・アイズ+フランス」から構成されるとシリル大佐は述べた。ファイブ・アイズとはオーストラリア、英国、カナダ、ニュージーランド、それに米国である。これらの五カ国は定期的に情報交換を行っている。
 フランスがこのグループに参加したのは一年前のことだ。2013年から2014年にかけてのパリとワシントンの関係強化に向けた動きの一環である。
 フランスは同盟国によらない「自律した能力」を持つと彼は述べている。そのために、同盟国、とりわけ米軍との情報の関連づけと交換が可能となっているのである。
 シリルの言葉を借りれば、アメリカには世界を「白か黒か」で見分けようとする傾向があるのに対し、フランスは、シリア政府を弱体化させるためにイランと協力しているイラク民兵組織を特定しているアメリカは,12月半ばに開催された同盟国との会議で、現場での複雑な状況を理解しようとしている。この会議には三年間にわたる詳細な追跡の経験を持つフランスの分析官が派遣された。
 イラク・シリア国境の渓谷では、イラン、ロシア、シリア、イラクそれにアラブ諸国出身の戦闘員がおり、それぞれが自らの主張を持っていると彼は述べている。
 DRMの二十名強の部隊は、「プラトー計画」に従事しており、その中には画像解析、通信傍受、電子情報の専門家が含まれている。
 主にインターネット通信を扱うオープン・ソースを追跡する分析官もいる。彼らは偽の身分を用いたオペレーターを追跡しており、海外ではなくフランスで活動している。
 シリル大佐は、中央計画作戦部の一部であるJ2情報部隊の指揮官を務めている。DRMは二千五百名の要員から構成されており、パリ北部のクレイル基地に置かれている。」

French official details intelligence-sharing relationship with Five Eyes

 
 フランスが中東情報に強いというのは、湾岸戦争の時から明らかでしたアメリカのタイムズ紙やニューズウィーク誌などに比べても、フランスのレクスプレス誌の方が圧倒的な情報量を誇っていました。それに、アメリカ同時多発テロをDGSEがCIAに警告していたというのも有名な話です。
 ですから、ファイブ・アイズにフランスが加盟したのも、この記事に見られるように中東がらみであるという点が注目すべきポイントでしょう。裏を返せば、すぐにではないにせよ、再び米軍が中東で軍事行動を起こす可能性がある,若しくはその支援を行う可能性があるということです。
 そこで想い起こされるのが、現在のイスラエルと米国との関係です。インテリジェンスの面でのフランスとの協力は,オバマ政権の時に計画されていましたが、イスラエルを軸にした中東での動きに対応したものになっています。
 そもそもが、エルサレムイスラエルの首都として認定したときから、イスラエルと米国は相当の反発を予想していたはずです。そして、予想していた通りにその反発が戦争となって実現するということでしょう。
 そこで勝利するには、フランスのような地味なインテリジェンス活動が欠かせないとアメリカ、それに英国が判断したというのが今回の記事のエッセンスであろうと思います。

 それにしても、イランはシリアとは関係が良好なはずですから、シリア政府を弱体化させるためにイランと協力しているイラク民兵組織などいるはずがないと考えがちです。それでも、そうした天の邪鬼な組織を特定したというのですから、やはりフランスのインテリジェンス能力は見過ごすことができないですね。