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漏れ始めたトランプ大統領の本音

 これまで散々ブラフの連続だったわけですが、そろそろ、トランプ大統領も本音で語るようになってきたようです。

 

 ブルームバーグからです。
 「トランプ大統領は、北朝鮮は「交渉に出席(“come to the table”)」して核・ミサイル計画に関して交渉すべきだと述べました。
 火曜日、ソウルで、文在寅韓国大統領の次に、トランプ大統領は,北朝鮮に関して進展があることを知っていると述べました。しかし、北朝鮮との直接対話に関してはコメントを避けました。彼は、アメリカは軍事能力を全力で使用する準備が出来ていると付け加えました。
 「私は北朝鮮が交渉のテーブルに着くことは意味があり、そして、北朝鮮の国民と世界の人々にとって良い交渉が出来ると本当に信じている。」とトランプ大統領は語りました。
 平壌が加速させているミサイル・核開発計画、それにトランプ大統領金正恩の言葉の上での争いは、北アジアに,この数十年で最大の緊張を引き起こしています。ソウルほどこの緊張が感じられる場所はありません。2500万人もの人が暮らす首都圏は北朝鮮の攻撃の射程に入っているのです。(後略)」
 本音で言えば、北朝鮮とは交渉がしたい。北朝鮮の体制変換は求めない。その代わりに核・ミサイル開発は中止して欲しいということだったのです。
 ただ、トランプ大統領が下手に出ても、北朝鮮がそれに乗ってくるとは考えられません。核・ミサイル開発は金一家の積年の希望であったからです。昨日の「北朝鮮の国民は優れている」発言と合わせて考えれば、金正恩が交渉に乗らなくても、最小限の手間で問題を解決するということなのでしょう。
 交渉と言えば、ニューヨークチャンネルですね。こちらに関してはロイターが次のように伝えています。
「[ワシントン/ソウル 3日 ロイター] - 米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表は、米国で最も苛酷な外交任務を課せられている。対話を望まない自国大統領と、耳を傾ける素振りすら見せない敵国との板挟みになっているからだ。
 経験豊富なユン特別代表は、朝鮮半島における破滅的な戦争リスクを抑えるという意味で、米外交上における第1の希望かもしれない。とはいえ、北朝鮮対応を巡り政権内の意見は分裂している。
 他方、北朝鮮の若き指導者、金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長も、少なくとも米国本土を攻撃可能な核弾頭搭載ミサイルの開発が完了するまでは、交渉の意志を見せようとしない。
 こうした状況にもかかわらず、韓国生まれのユン特別代表は同僚らに対し、自身の外交努力によって北朝鮮の核・ミサイル開発を巡る危険な米朝対立を鎮静化できるとの期待を表明している。米韓両国の現旧当局者や外交官ら10数人へのインタビューで明らかになった。
 もっとも、彼らの大半は悲観的だ。
 「ただの夢想家にすぎない」。米政府当局者は皮肉な調子で言う。
 「どうにかなるとは思えない」と別の当局者も口を揃える。ただしこの当局者は、直接交渉を公式に拒否しているトランプ大統領の足を引っ張るように見えない限り、ユン代表が、ある程度のレベルで北朝鮮との関係を保つことは依然として有意義ではないかと語った。
 米政府当局者4人によれば、トランプ大統領は、自ら武力行使をちらつかせて脅したことで、北朝鮮は屈服し、核兵器・ミサイル開発プログラムを抑制するだろうと側近に語ったという。だが、米国の情報機関の大半はこうした見解に賛同していない。
 その一方で、ユン特別代表は国連の場で北朝鮮当局者との直接対話を水面下で模索しており、同国で拘束されている米国民の解放以外の問題についても協議する任務を負っている、と国務省の高官は今週ロイターに語った。
 ユン代表は6月、約1年半にわたり北朝鮮で拘束されていた米国人学生オットー・ワームビアさんの解放を実現したが、ワームビアさんは昏睡状態で帰国し、数日後に死亡した。
 <「時間切れが迫っている」>
 「(北朝鮮危機に関して、世界は)時間切れが迫っている」と側近の高官が警鐘を鳴らすなか、トランプ大統領は3日アジア歴訪を開始。
 その舞台裏では、ユン特別代表が、今にも途絶えそうなコミュニケーション回路を維持しようと努めている。それがあれば、米朝どちらか一方の誤算が、武力衝突エスカレートすることを防げるかもしれないからだ。
 米朝間の緊張に拍車をかけるように、米戦略爆撃機2機が2日、韓国上空で演習を行った。これに続いて、韓国の情報機関から、北朝鮮が新たなミサイル発射を準備している可能性があるとの報告があった。
 複数の米当局者は、試射されたミサイルを迎撃することも選択肢の1つとして検討されているが、それに伴うリスクについて政権内でも意見が割れている、と非公式に語っている。
 こうした状況の真っ只中に置かれているのが、32年の外交経験を持つ、物腰の柔らかなベテランで、オバマ政権末期となる約1年前に現在のポストに就いたユン特別代表だ。
 ユン特別代表は、トランプ大統領乱暴な発言に加え、大統領側近の不協和音にも苦慮している。武力威嚇は本当に正恩氏に自制を強いるのか、また軍事行動の発動条件は何かについて、意見が割れていると複数の政府当局者が匿名を条件に明らかにした。
 ユン特別代表が直面する難題は、定期的な訪問先のソウルでも表面化している。トランプ大統領によるアジア歴訪の2番目の訪問地だ。
 複数の韓国政府当局者は、北朝鮮問題を巡るユン特別代表の外交努力が、ホワイトハウスから実質的な支援を得ていないのではないかという懸念を表明している。
 「彼にとって状況が容易でないのは明らかだ」と韓国の外交官は語る。「ユン氏は(北朝鮮との交渉役として)まさに適任だが、トランプ大統領がそうしたプロセス全体を台無しにしつつある」
 ティラーソン米国務長官は9月30日、記者団に対し、米国は外交による解決機会を探っていると述べたが、トランプ氏は「時間の無駄だ」とツイッターに投稿し、これを一蹴した。
 そのなかで、米政権内で対北朝鮮の最強硬派の1人と目され、定期的に諜報関連事項について大統領にブリーフィングを行う米中央情報局(CIA)のポンペオ長官の存在感が高まりつつあるようだ。
 ポンペオ長官はトランプ大統領に対し、米国の軍事的な圧力によって、正恩氏は非核化に向けた要求に従わざるを得なくなるという分析結果を提示していると北朝鮮関連の協議に詳しい複数の当局者は語る。
 ただし、米情報機関当局者の一部は、非公式にこの立場に異議を唱えている。CIAはこの件についてコメントしなかった。(以下略)」
 トランプ大統領の発言の真意は、末端の国務省の官僚までには伝わっていないことがよくわかる報道です。ただ、先に挙げたように、トランプ大統領の本音は交渉にあります。ですから、そろそろ交渉に向けた動きが活発になるのではないかと考えられます。
 そこで,妥協できれば、OK.出来なくとも、時間稼ぎにはなります。あと2ヵ月程度が山になる感じですね。少なくとも年末までは平穏に済むのではないでしょうか。