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米中第一次合意のファクトチェック

超巨大ハリケーン カテゴリー5

 台風の勢いが止まりません。しかし、トランプの勢いは止まりそうです。

  日経新聞から今回の米中合意の概要を紹介しましょう。

「 トランプ大統領は11日、ホワイトハウスで開いた中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相との会談で「とても重大な『第1段階』の合意に達した」と述べた。最大5週間かけて詳細を詰め、文書に落とす作業を進める。
 一方、中国国営新華社は12日「双方は率直で効率がよく、建設的な議論をした。農業、知的財産の保護、為替、金融サービス、貿易協力の拡大、技術移転、紛争解決などの分野で実質的な進展があった」との声明を発表した。トランプ氏が強調した「部分合意」という文言は使っていない。
 トランプ氏らの説明によると、「第1段階」と称して暫定合意したのは農産品と為替、知的財産権などの特定分野。中国が400億ドル(約4兆3千億円)から500億ドルの米農産品を購入するという。中国の対米農産品輸入の過去最高額は年約260億ドルだった。
 金融面では、中国が通貨政策で透明性を確保する。米政権が意図的に人民元安に誘導しているとして8月に指定した「為替操作国」の扱いは今後検討する。中国が米金融機関に市場を開放していく方針も盛り込んだ。
 詳細は不明だが、中国が米企業の知財保護を強めることも部分合意に含める構えだ。技術移転の強要を抑える施策も一部取り入れるという。
 トランプ氏は11月中旬にチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議で、習近平(シー・ジンピン)国家主席と正式に署名することに意欲を表した。これから文言を調整する過程で意見が食い違う可能性はあるが、トランプ氏は「問題は起きないだろう」と強調した。
 景気減速の懸念が広がるなかで米中は対立激化を避けたが、先行きはなお不透明だ。今回は歩み寄りやすい分野に絞り、過剰な産業補助金や国有企業の優遇など難題を先送りした。トランプ氏は「第1段階を終えた後、第2段階をすぐ始める」とし、構造問題に引き続き取り組む構えを示した。中国が求める通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置の一部緩和についても妥協点を探るとみられる。
 米政権は12月15日、ほぼすべての中国製品に制裁関税を広げる「第4弾」のうち、スマートフォンやノートパソコンなど計1600億ドル分に15%の関税を上乗せする。この予定は先送りせず、今後検討する形にとどめた。米国がすでに発動した3600億ドル分の制裁関税や、中国が課した報復関税の扱いも未定だ。」

米、15日の対中関税上げ延期 農産品や為替で部分合意 (写真=AP) :日本経済新聞

 結局まとまったのは、農産物、為替、知的財産権の3つで、国営企業への補助金などの問題は、アメリカから見れば先送り、中国から見れば無事回避したということなのでしょう。トランプ大統領も、ウクライナ問題による弾劾や、トルコ軍のシリア侵攻など全く余裕がないというのが現状です。ですから、選挙向けに合意をまとめ上げたということです。

 ただ、農産物はともかく、為替に関しては確たる合意が形成されたようには見えませんし、知的財産権に関しても、強制的に外国企業にソースコードを渡せとは言わない程度のことではないでしょうか。もうすぐ、アメリカは大統領選に突入します。来年は、選挙一色になるでしょう。そして国際的なイベントとして東京オリンピックも控えています。今後1年程度は米中間の関係は、不本意ながらも休戦状態に留まるとみられます。