中国経済の真実の姿をIRから追求する
中国経済の実体に関しては、何度も取りあげていますが、霧に覆われてよく見えないというのが偽らざる実感です。メディアのカバレッジが少なすぎるのです。
しかし、メディアに頼らずともある程度の推測は可能です。それは個別企業のIRを利用することです。
というわけで、今回はコマツのIRを取りあげてみましょう。
この図は、コマツの建設機械の需要を示したものです。
この図によれば、中国経済の見通しがマイナスに転化したのは昨年の11月からで、その点では6月まで全く変化がないということがわかります。北米は著しい伸びこそ見られないものの、順調であることが確認出来ます。欧州経済に関しては今年の1月から伸びが見られなくなっています。これは中国での景気減速に応じて、欧州もリセッションの前段階に突入したと言えそうです。需要減少が著しいのは、中近東で、この需要の落ち込みは、産油国はまだまだ原油価格が下がると考えている証拠でしょう。
コマツの素晴らしいIRはこれにとどまりません。次の表を見てみましょう。
https://home.komatsu/jp/ir/demand-orders/__icsFiles/afieldfile/2019/09/09/komtrax_201908_3.pdf
これはコマツの建設機械の平均稼働時間です。ここからも、昨年の11月から今年の1月にかけて、中国の建設機械の稼働時間が大幅に減っていること、そして、4月以降はその減少がマイルドになっていることが確認出来ます。つまり、中国共産党政府は昨年末の景気後退を人為的に解消するために相当の景気対策を行っていることが透けて見えるのです。
あとは、この中国政府の景気対策がいつまで持つのかということが焦点になります。