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米朝同盟成立の陰で、中韓同盟が成立か

『ジューコフ回顧録』完全版が明かす 独ソ開戦の真実

 結びつかないものが結びつくという点では、独ソ不可侵条約を想起せずにはおられません。習近平スターリンであるとすれば、文在寅ヒトラーということになりますが、このアナロジーはあながち誤りではないかも知れません。ただ、文在寅はかなりの程度劣化版のヒトラーですが。

  まずは、中央日報のコラムを紹介します。コラムとは名前だけで、かなりの力作です。

「 韓国が韓米同盟を維持しながら中国とも同盟を結ぶというのは童話の中のような話に聞こえる。しかし中国の習近平主席が諮問する現実主義学派群の代表的人物、閻学通・精華大国際関係学院長は2013年に出した著書『歴史の慣性』(韓国語版は『世界史不変の法則』)で韓中同盟論を初めて主張した。2012年に閻学通氏が書記長を務める世界平和フォーラム第1回大会を開いた際、当時副主席だった習近平主席が出席したのは偶然でない。
 閻氏は韓半島朝鮮半島)の王朝が中国の2つの王朝と同時に同盟を結ぶ両端外交をした前例があると主張した。私は当時、閻氏にメールで韓半島王朝の両端外交の前例を挙げてほしい追及した。閻氏は高麗が遼・北宋と同盟を結び、その後は朝鮮が後金・明と同盟関係を結んだという返答を送ってきた。高麗と遼・北宋、朝鮮と後金・明の関係を現代的な意味の同盟関係、すなわち両端外交と言えるかどうかは学者間の、特に韓中学者間の学術的論争テーマだ。閻氏は2023年になれば超強大国の米国を中心にした一超多極体制が解体され、米国と中国の両国による両極体制に変わると予想している。閻氏は両体制間の競争の勝敗はどちらが同盟国を多く確保するかによって決まると予想している。ところが米国は42の同盟国を持つが、中国の実質的な同盟国は北朝鮮程度だ。
 しかし閻氏は、1990年のソ連崩壊後、同盟国の数が覇権を左右する世界で、海洋勢力が大陸勢力に対して圧倒的に優位に立った世界(荷物)を抱え込んだ事実を看過している。ユーラシアの心臓部を支配する勢力が世界を支配するという地政学の父ハルフォード・マッキンダーの時代が、沿岸部に片足をかけて大洋を支配する国が世界を支配するというニコラス・スパイクマン・エール大教授の理論に談論の上位を譲った。中国が国力を注いで空母建造など海軍力の強化にオールインするのもこうした理由からだ。2023年までの残り4年間で中国の海軍力は米国の海軍力の足元にも及ばない。閻氏は韓国が両端外交を決断する時期を10年またはそれ以上遅らせる必要があるかもしれない。
 しかし最近の韓日葛藤が中国に好材料を提供している事実は意味深長だ。米国の代表的な保守的シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーンは米国議会傘下の米中経済安保検討委員会(UN-China ECRS)に出席し、「中国は韓国が米国との同盟から離脱する可能性があるとみて、これを一つの機会にしようとしている」と述べたと、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)放送が報じた。
 VOAによると、グリーン氏はこのようにも語った。「韓国は米国の同盟国のうちインド太平洋戦略に最も消極的な国であり、中国はその間、韓米関係を仲違いさせてきた。…韓国は米国の他の同盟国とは違ってインド太平洋戦略への参加を明確にしていない。韓日間の状況を考慮すると、これは深刻な問題だ。韓日関係が悪化した中で韓米関係にまで隙間が生じてはいけない」。
 グリーン氏はトランプ大統領軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄にまで至った韓日問題を傍観して事態をここまで深刻にしたと批判する。中国の力のためではなく米国の韓日米安保連携体制管理の失敗で、習近平主席の現実主義策士の期待通りに韓国が中国と同盟を結ぶ状況にまで進めば、アジアの歴史の大きな方向が変わる。グリーン氏は8月30日付の中央日報への寄稿で、米国が韓国のGSOMIA破棄と日本の対韓国ホワイト国除外を防ぐために次の3つの措置を取ることもできたが傍観したと指摘する。
 1つ目、日本政府関係者は数週間にわたり韓国に対する輸出規制を強化する意向を示唆したが、米国は反対や懸念を明確に示さなかった。2つ目、米国情報機関が韓国と日本のパートナーを招請して韓米日同盟の重要性を力説したが、米国は機会を逃してGSOMIAは破棄された。3つ目、議会の上下院議員で構成された超党派的な使節団を韓国と日本に派遣することもできたが、トランプ大統領はそうしなかった。
 グリーン氏の分析にも日本寄りの部分が見える。トランプ大統領と参謀は中立的な態度で韓日問題を傍観したのではなく「日本が勝て」という心情で事態を眺めた文在寅ムン・ジェイン)政権に対する不信感が込められた態度だ。GSOMIAが破棄されると、ホワイトハウス国務省国防総省は一斉に韓国に対する失望を表した。自らやるべきことをしない米国が、韓国のGSOMIA破棄で北東アジアの韓日米安保連携体制が揺らぐと韓国を批判する。日本の責任論は一言もない。
 韓国政府がハリス駐韓米国大使を呼んで韓国批判の自制を要求し、米軍基地26カ所早期返還の積極的推進を発表する強硬姿勢を見せると、ようやく自制の動きを見せた。このように「ノー」と言うべき時はタイミングを逃さず明確に話さなければいけない
6月に訪朝した習近平主席は「中朝の友情は千万金とも代えられない」と述べた。習主席は「北朝鮮の合理的な安全と発展に対する問題の解決を助ける」とも語った。習主席は北朝鮮を確実に引き込んだ。
 トランプ大統領金正恩キム・ジョンウン)委員長を激励するのに注力している。金正恩委員長が短距離弾道ミサイルを相次いで発射しても「特別なものではない」「問題ない」「安保理規制違反ではない」と言って済ませようとする。6月に金正恩委員長の親書を受けると「立派な内容が書かれている」とし「満足している」と語った。韓米合同軍事演習は商売人のトランプ大統領には浪費にすぎない。それで演習進行中に演習が気に入らないという発言をした。韓国が米国の同盟なのか北朝鮮が米国の同盟なのか紛らわしいほどだ。両手に大きなモチを握った金正恩委員長の眼中に文在寅大統領はない。
 北朝鮮はこのように世界を両分する勢力からラブコールを受けている。一方、韓国は米国・北朝鮮・日本の信頼を失い、北東アジアで孤立している。鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は韓国の外交をどん底に落とし、南北関係を出口の見えないトンネルに導いた責任を痛感しなければいけない。それぞれ口を開くたびに米国のカウンターパートと常に緊密に協議していると述べてきた。これが嘘であることが分かった。韓米関係の概念と実践戦略の再確立が急がれる。
 閻学通氏が2013年に韓中同盟を提案した当時、その提案は一人の学者の妄想家的(visionary)私見としてそれほど注目されなかった。しかし10年も経っていない中、長期的な視点で韓国と中国、北朝鮮と米国の交差両端外交は珍しい談論ではなくなった。トランプ大統領にとって同盟国は米軍駐留費用の恐喝対象、高価な先端武器の輸出市場でしかない。これでは同盟は安定しない。
 もちろんトランプ大統領以降の米国政府が北朝鮮に今のような寛大な政策を継承するという保証はない。むしろその可能性は低い。韓米関係と韓日関係もいつまでも今のようではない。角逐する米国と中国の間で韓国の外交は確固たる立場がなければいけない。GSOMIAは米国のインド太平洋戦略の必要から遠からず解決されるだろう我々は急ぐ必要がない。米国が安倍首相の腕を捻るのを楽しみながら見守ればよい。
北東アジアの歴史はいま大きくねじれている。いま中国は韓国を引き込み、米国は韓国を押し出して北朝鮮を抱え込もうとする奇異な現象が演出されている。韓中、米朝両端外交が童話でない日に備える長期ビジョンが必要な時だ。遅くなったが、大統領から外交・安保官僚にいたるまで、韓国が置かれた状況を歴史的コンテクストの中で眺望して把握する目を育てなければいけない。コンテクストを抜け出した理解は政策の決定と執行に有用なガイドラインにはならない。」

【コラム】トランプ大統領は韓国を捨てて北朝鮮と同盟を結ぶのか(2) | Joongang Ilbo | 中央日報

 このコラムを読んでも、韓国人の病気ともいえる現実を直視できない性質は全く変わらないという印象は避ける事が出来ません。

 ただ、このコラムが指摘するように、中国が韓国に触手を伸ばしていることは事実であり、北朝鮮を合わせて朝鮮半島全体が中国の影響下に入る可能性も大きくなっていると言うことでしょう。

 北朝鮮派といえば、中国サイドからも西側諸国サイドからもラブコールが尽きませんが、核をもっていることにして、どちらの側にも与せず、どちらの側からも利益を得るというのは至難の業であるように思えます。仮に、中国が韓国を同盟国として引き入れるならば、北朝鮮は自動的に中国の影響下に参入されることになります。とするならば、核を持とうと持つまいと、事実上朝鮮半島全体が中国の影響下に入る可能性も高まっていると見るべきでしょう。

 そうならないとすれば、北朝鮮アメリカの同盟国となり、平壌に米軍基地がおかれるという想定もありですが、在韓米軍をなくして、北朝鮮に米軍基地はペンタゴンの方が相当嫌がるでしょう。ですから、可能性はないとは言えないまでも、かなり低いという気がします。

 とすると、やはり朝鮮半島全体が統一朝鮮に統一されるとすぐに中国が強い影響力を振るうことになります。ハリス駐韓大使が仕事をサボタージュしていることからも、アメリカが積極的に朝鮮半島、特に韓国に関与するとは考えられません。

 結局の所、日本が敵対的勢力の最前線に立たされることには変わりがなさそうです。これは我々が想像する以上に厳しい事態だと思います。