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ボルトン失脚は、日本に何をもたらすのか

影響は大きそうです。

 「 トランプ米大統領は10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当、70)を解任したとツイッターで発表した。後任は来週発表する。解任の理由を「彼の提案の多くに私は強く反対してきた。他の政権メンバーも同意しなかった」と意見の相違があったためと説明した。国家安保担当の大統領補佐官は外交・安全保障政策の司令塔で、北朝鮮やイランに対し強硬姿勢をとってきたボルトン氏の解任により同政策への影響は必至だ。
 トランプ氏は「昨夜、ボルトン氏にホワイトハウスにはもう要らないと伝えた」とツイート。「だから私は辞任を促し、今朝辞意が私に伝えられた」と明かした。
 一方、ボルトン氏はツイッターへの投稿で「私は昨夜、辞職を申し出た。トランプ氏は『それについてあす話し合おう』と言った」と9日夜に自ら辞意を伝えたと主張して解任を否定しており、両氏の説明は食い違っている。ボルトン氏は10日午後に予定していたホワイトハウスでの記者会見を急きょキャンセルした。
 両氏はアフガニスタンやイラン、北朝鮮政策などを巡って意見の対立が指摘されていた。最近開かれたアフガン和平を巡る政権幹部の協議に、ボルトン氏は出席していなかったとされる。6月末に韓国と北朝鮮軍事境界線で開かれた3回目の米朝首脳会談にも同行しなかった
 ボルトン氏はブッシュ(子)政権で国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)や国連大使を歴任。チェイニー副大統領(当時)らとともに対外強硬派のネオコン新保守主義派)としてしられ、イラク戦争の旗振り役の一人だった。
 大統領補佐官には2018年4月に就任。トランプ政権下ではフリン、マクマスター両氏に続いて3人目で、イラン核合意からの離脱やロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を主導した。19年2月末のベトナムでの米朝首脳会談では、北朝鮮金正恩キム・ジョンウン)委員長が提案した非核化措置が不十分だとしてトランプ氏に合意に応じないよう進言した。」

トランプ氏、ボルトン補佐官を解任 安保政策に影響 (写真=AP) :日本経済新聞

 ボルトン解任の背景には、次期大統領選でのトランプ大統領の焦りがあるといえます。共和党の内部からも、トランプ批判が沸き上がっており、このまま景気が減速すれば、大統領選がそもそも危うくなります。

 ここで、タカ派ボルトン震源に従っていれば、外交で解決できる問題が、解決できなくなってしまいます。すでに北朝鮮問題で大統領と意見が食い違っていたことは明らかで、それがアフガニスタンでもということになれば、罷免されるほかはなかったのでしょう。

 ボルトン解任は日本の今後にも大きな影響を与えます。第一に、アメリカの対北朝鮮外交が一層融和的なものになるのはほぼ確実でしょう。そのために、拉致被害者の返還などはさらに後回しにされる公算が大です。

 第二に、アメリカのイラン接近が予想されるということです。現在、イランの原油輸出は厳しく制限されていますが、それが、若干解除される可能性があります。ただ、この点に関してはイスラエルの言い分を聞いておかねばならないでしょう。ただ、イランとの戦争を開始した状態で大統領選には突入したくないというトランプ大統領の本音を感じることはできます。

 第三に、対中外交も一定期間緊張が緩和される可能性があるということです。すでに、選挙での重点地域で、トランプ大統領の支持率が下がっています。このままでは再選を逃す可能性も出てきています。そのために、中国とも一時的な停戦に踏み込む可能性は高いといえます。

 総じて、アメリカが融和路線に軌道修正する可能性が高くなっており、日本の対北朝鮮外交、対中外交に影響が及びそうです。あくまで一般論ですが、アメリカの対中融和は、日本にとって好ましい事態ではありません。北朝鮮に関しても同様です。