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シャングリラ・ダイアローグでの中国

BRUTUS特別編集 増補版  台湾

 「台湾は絶対に手放さない」そうです。

 「中国の魏鳳和(Wei Fenghe)国務委員兼国防相は2日、シンガポールで開催されているアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ、Shangri-La Dialogue)で、貿易問題で米国が戦いを望むなら受けて立つが、中国は対話のドアを開けておくと述べた。

 魏国防相は、「米国が始めた貿易摩擦について、米国が対話を望むならば、わが国はドアを開けておく。米国が戦いを望むならば、受けて立つ」と述べた。

 米中は激しい貿易戦争の報復合戦でこう着状態にあり、両国がこれまでに双方向貿易で追加関税を課した輸入品の総額は3600億ドル(約39兆円)相当に上る。

 中国国防相のアジア安全保障会議への出席は、2011年以降初めて

 南シナ海(South China Sea)をめぐり、中国がほぼ全域に対する「議論の余地のない」領有権を主張しているのに対し、米国は中国による積極的な軍事化に反対している。

 魏国防相は台湾との「再統一」について、可能な限り「平和的な手続き」を目指していくが、武力行使は放棄しないと述べ、人民解放軍(PLA)の決意を過小評価することは「極めて危険だ」と警告した。

「米国が戦い望むなら受けて立つ」 貿易問題で中国国防相 アジア安保会議 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

 今回中国国防相が自ら出席したという意味は重いでしょう。深まりつつあるアメリカとの対決の中で、アメリカにしかるべき警告を伝えておく必要があると中国が考えたからにほかなりません。この記事にもあるように、何があっても「台湾には触れてほしくない」というのが中国側の真意であることがわかります。

 それにたいして、アメリカ側は、「なにはともあれ国防相が出席してもらえてよかった。おそらく、まだ対話がつづくのだろうから。魏鳳和大臣の勇ましい発言も国内向けなのだろう」という反応を見せています。

US says Chinese defence minister's tough words on Taiwan, South China Sea were for home audience, Singapore News & Top Stories - The Straits Times

 アメリカの発言を見れば、まだ余裕がありそうな印象も受けますが、アメリカ側としてはまだ中国側との戦争準備が整っていないという事情もあるのでしょう。米軍の予算がメキシコとの壁に向けられており、それに加えて、アメリカ本土の自然災害が米軍基地にも大きなダメージを与えています。中国側の発言に受けて立つというタカ派のスタンスは取りにくいのでしょう。

 しかし、台湾という問題は残ります。中国側が台湾の併合を狙う限り、その時から米中の本格的な軍事衝突は始まると考えられます。いまは、まだその時ではないというだけの話なのでしょう。