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文化大革命がやってきた!

フロンティアと国際社会の中国文化大革命 ― いまなお中国と世界を呪縛する50年前の歴史

 ポスターだけを見ているとカッコイイですね。文化大革命は。

  文化大革命というと下放、ですね。これは、当時の青年層を田舎に放り込むと言う制度でした。何を隠そう習近平本人も、下放の対象でした。しかし、習近平の政治キャリアはそこから始まるので、本人としては甘酸っぱい気持ちを隠せないのです。

中国で、農村部に数百万人の若者たちを「ボランティア」として派遣する計画が進められている。だが50年前に毛沢東(Mao Zedong)が苛烈な文化大革命(Cultural Revolution)期に取った措置の再来を懸念する声が上がっている。

 中国共産党の文書によると、同党の青年組織でエリート養成機関の中国共産主義青年団共青団、Communist Youth League of China)」は、「スキルを高め、文明を広め、科学や技術を促進する」ために、2022年までに1000万人超の学生を「地方部」へ派遣することを公約したという。

 11日付の国営紙「環球時報(Global Times)」が、共青団の文書を引用して伝えたところによると、派遣の目的は、そうしなければ大都市での生活に魅せられてしまう若者たちの才能を地方部に伝えるためだという。

 同国中部・湖南(Hunan)省の町の副町長は環球時報に対し、「私たちは地方における伝統的な開発モデルを刷新する一助として、科学や技術に携わる若者が必要だ」と述べた。

 学生たちは夏季休暇の間、地方部で暮らすことを要請されるが、共青団は、どうやって若者にボランティアへ参加させるかは明らかにしなかった。

 共青団によると、最優先の派遣先は以前の革命時の拠点となった場所や、極度の貧困に悩まされている地域、少数民族が暮らす地域だという。

 その一方、中国版ツイッターTwitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」では、懸念を示すユーザーの反応がみられた。

 多くの人々は、大学が10年にわたって閉鎖され、毛沢東によって「若い知識人」たち数百万人が地方部の低開発地域に派遣された1966年から76年まで続いた文化大革命の混乱を想起。「また始まるのか?」「もう40年前に実施された」との投稿もあった。」

「下放」の再来か…中国、地方部に若者数百万人の派遣検討 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 この記事を読めば、習近平の甘酸っぱい思いをそのまま政策にしたかのような印象を受けます。大都市での生活に魅せられてしまう若者たちの才能を地方部に伝えるというのは、おそらくは大嘘でしょう。むしろ、大学を卒業しても職のない青年層を強制的に地方に追い出す制度のように見えて仕方がありません。それだけ、現在の中国経済の状態が悪いと言うことなのでしょう。

 この記事のポイントはもう一つあります。それは、この政策が共青団から出されているという点です。共青団というと胡錦濤というイメージがありますが、彼らは基本的にテクノクラートです。その共青団も、習近平におもねる形で「下放」政策を主張しだしたとなると、共青団は完全に習近平に屈したと見てもよいでしょう。

 現在のところ、習近平に対抗しうるのは、江沢民と言うよりは、鄧小平のラインですね。最後の砦と言っても良いでしょう。この点ではまだ決着がついていないようですが。