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北朝鮮に漂う内紛の気配

社長争奪 ―世襲・派閥・策謀

 金正恩はそもそも自分の兄すら暗殺して消してしまうほどですから、国内にライバルといえる人物はいないはずです。にもかかわらず、ここにきて内紛の気配が漂うのはどういうことでしょうか。

 「 北朝鮮金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は10日、政権の重要方針を決める党中央委員会総会に出席、「自力更生」で経済建設に邁進(まいしん)し、国際社会による制裁に断固立ち向かう方針を表明した。朝鮮中央通信が11日に報じた。2月末にハノイで物別れに終わった米朝首脳再会談以来、北朝鮮メディアが米朝会談をめぐる金氏の発言を伝えるのは初めて。
 米朝会談で狙った制裁解除が頓挫する中、制裁の長期化に備えて国内の引き締めを図ったもようだ。
 北朝鮮は3月、崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官の記者会見で、金氏の「決定にかかっている」として核・ミサイル実験中止の再考もちらつかせたが、米国への直接非難や核・ミサイルへの言及はなく、交渉継続の立場は維持した形だ。ただ、具体的外交方針は公表されず、あくまで制裁への対抗姿勢を強調しており、膠着(こうちゃく)化した交渉打開の見通しはない。
 金氏は総会で、米朝再会談の趣旨と党の立場を説明。「自立的経済に基づく自力更生を掲げて社会主義建設を粘り強く進める」ことで「制裁によってわれわれを屈服させられると誤った判断をしている敵対勢力に深刻な打撃を与えなければならない」と主張した。
 党の主要人事も発表され、首相として経済再建を指揮してきた朴奉珠(パク・ポンジュ)氏が党副委員長に選出された。国会に当たる11日の最高人民会議を受けて首相が交代する可能性がある。憲法改正を通じて金氏が国家元首の法的地位を得るとの分析も出ている。また、対米外交を担う崔外務次官が党中央委員に昇任した。
 昨年4月の総会では、金氏を含む政治局常務委員がひな壇に並んでいたが、今年は金氏だけが壇上に着いたことから、韓国統一省当局者は金氏の地位が強化されたとの見方を示した。」

金正恩氏「制裁勢力に深刻な打撃を」 米朝会談後初の発言 - 産経ニュース

 ハノイでの首脳会談の失敗を受けて、国内の体制固めに向かわざるを得なかったことがよくわかります。核ミサイル実験の再開をほのめかしても、それらはあくまでも「なんちゃって」です。本気ではないのです。

 ただ、注目すべきなのは、ここにきて核ミサイル実験の可能性をにおわせる必要が出てきたということでしょう。北朝鮮国内の核開発関係者は、非常にやきもきしているはずです。金正恩が、トランプに彼らを売り渡すのではないかとおびえているのです。それに対する反発も金正恩には伝わっているはずで、ここであらためて「核は放棄しない」ということをやんわり宣言することになったのだと推測します。

 とすると、米朝関係は当分硬直したままでしょう。動くとすれば、北朝鮮国内からということになります。