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トランプ大統領に借りを作った安倍首相

平成政権史 日経プレミアシリーズ

 現在の安倍政権への不満は、アメリカに借りを作ったという自覚がない点です。

 「 ハガティ駐日米国大使が日米間の連携による対北朝鮮圧力基調を強調した。ウォール街出身のハガティ大使はトランプ大統領と随時連絡を取ることができる側近の一人だ。米朝間のハノイ会談決裂後、北朝鮮が挑発の兆候を見せる中、米国も警告性のメッセージを出している。
 ハガティ大使の「対北朝鮮、日米連携が要」と題した寄稿が20日付の日本経済新聞に掲載された。ハガティ大使は寄稿で「トランプ大統領北朝鮮の要求を拒否したのは(北朝鮮の提示案が)日米や地域の安全には寄与しないと認識したからだ」と明らかにした。
 これとともに北朝鮮を交渉テーブルに引き出すうえで日本の役割が大きかったと強調した。ハガティ大使は「日本は国連安全保障理事会での米国のリーダーシップを強く支援し、3度にわたる対北朝鮮制裁を引き出した」とし「その結果もたらされた経済的な圧力は、北朝鮮を交渉の場に着かせ、昨年シンガポールでのトランプ大統領金正恩キム・ジョンウン)委員長の首脳会談に至った」と評価した。
 続いて「北朝鮮が制裁の圧力を感じていることは、国連の経済制裁を事実上すべて解除するようハノイサミットで求めたことからわかる」と指摘した。また「日本の支援がなければハノイサミットは実現しなかっただろう」とし「米国とトランプ大統領は、最終的かつ完全に検証された北朝鮮の非核化に向けた努力への日本の揺るぎない支援に深く感謝している」と明らかにした。
 安倍政権が繰り返し要求してきた日本人拉致問題の解決については「(ハノイでの)首脳会談は日本人拉致被害者問題の解決が重要だとトランプ大統領があらためて金委員長に表明する機会にもなった」と言及した。
 ハガティ大使はハノイ会談の決裂について「ハノイで合意に至らなかったことで進展がなかったと混乱してはいけない」とし「日米と国際社会は、最終的かつ完全に検証された北朝鮮の非核化について認識を共有している」と主張した。
 今回の寄稿は韓国について最後に一度だけ言及した。ハガティ大使は「我々は日韓と強い同盟関係にある。この連携は今後の対北朝鮮外交に不可欠だ」と主張した。
 一部では、今回の寄稿は日本の対米外交力が対北朝鮮問題に深く投影されていることを示唆するものだという評価もある。このため段階的な対北朝鮮制裁緩和を強調する韓国の立場はさらに狭まるという解釈も出ている。」

https://japanese.joins.com/article/482/251482.html?servcode=A00&sectcode=A00&cloc=jp|main|ranking

 この中央日報の記事で、注目すべきなのは、アメリカの北朝鮮との交渉において韓国はほとんど何の役割も果たしていないということでしょう。その代わりに、日本がアメリカの立場を支持し、その結果が対北朝鮮制裁につながっていることを大使は指摘しています。

 つまり、アメリカにとって重要なのは日本であって朝鮮半島ではないということです。

 こういうと聞こえはいいのですが、実際には、トランプ大統領は、拉致問題を提示して、北朝鮮との交渉をぶち壊すこともしていますので、日本の立場をかなり意識した行動であったともいえます。米朝会談そのものが日本の国益を突き崩すものである以上、安倍首相はトランプ大統領に借りを作ったという見方も成り立つはずです。

 リセッションに突入しつつあるアメリカ経済と、中国との通商交渉がなかなかまとまらないことを考量に入れれば、トランプ大統領は、大統領選を狙って何らかの成果を上げる必要があります。つまり、5月の訪日時に「借りを返せ」と言われる可能性が非常に大きいのです。しかし、現在の報道を見る限り、日本政府の側に「借りを返そう」と考えている人はあまりいなさそうです。

 このことが、日米の同盟関係に悪影響を及ぼさなければよいのにと思います。