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人民元は維持できるのか

人民元の興亡 毛沢東・鄧小平・習近平が見た夢

 表向きは現在の実効ルートが維持されるようですが、こればかりは中国の金融当局だけの力で維持できるのか不明です。

 「中国人民銀行中央銀行)の易綱総裁は10日の記者会見で、米国との貿易協議について「為替を巡って多くの重要な問題を議論し、双方は多くの重要な問題で認識が一致した」と語り、通貨の競争的な切り下げを回避することなどで合意したと明らかにした。米国が求める金融市場開放の前倒しには否定的な見方を示した。
 米中協議では為替が一つの焦点。米国側に「中国が通貨人民元を安値誘導し、追加関税の打撃を抑えている」との見方があったためだ。ムニューシン財務長官は2月に「為替問題で最終合意に達した」と発言していたが、具体的な内容は明らかになっていない。
 易氏は米中間で(1)金融政策の自主権を尊重(2)市場が為替相場を決める原則を堅持(3)競争的な切り下げをしないなど20カ国・地域(G20)首脳会議の合意を順守(4)高い透明度で情報を開示――などを議論したと明かした。そのうえで「我々は為替相場を競争目的、輸出押し上げ、貿易摩擦の手段に決して使わない。これは約束だ」と強調した。
 米中協議では中国の金融市場の開放も議論する。中国では外資の証券会社や保険会社が事業を営む場合、中国企業との合弁出資にする必要がある。中国は2018年から外資の過半出資を認め、全額出資の解禁は21年に予定するが、ムニューシン氏は1月に解禁期日の前倒しを求めていた
 易氏は「金融業の対外開放のスケジュールは中国の改革開放の必要性に基づいて決めた。このスケジュールに沿ってぶれずに進めていく」と述べ、米側の要求を拒否したことを示唆した。」

米中「通貨切り下げ回避で合意」 人民銀総裁が言及 :日本経済新聞

 人民元に関するメディアでの報道を見る限り、人民元が現在のレートではもたないとする論調が圧倒的に多いのが印象に残っています。ミンスキーモーメントはとっくの昔に過ぎ去ったということなのでしょう。

 ただ、アメリカとの通商交渉の上では、「レートは変えません」というしかなかったのだと推測します。はっきりしているのは、ここまでアメリカから牽制されれば、人民元を不用意に下落させることはできなくなったということです。

 むしろ、興味深いのがアメリカ金融機関の中国市場への参入をかたくなに拒否していることでしょう。アメリカとしては、中国経済崩壊のどさくさで儲けたいということなのでしょうが、いつまでも抵抗はできない気もします。

 ただ、トランプ大統領といえば、中国に対する強硬策には及び腰になっているように見えます。むしろ、中国とのディールが実現すれば、株価が上がると述べているほどですから、中国との交渉妥結が至上命題になっているのです。

 ですから、アメリカの早期金融市場参入は実現しにくいように思います。