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ペンス副大統領が直面した「沈黙」

ケネディを殺した副大統領―その血と金と権力

 昨日の続きですが、他のNATO諸国にとってはビミョーな内容であったようで。

  「「私はアメリカ合衆国の第45代大統領ドナルド・トランプからのご挨拶をお送りします」とペンス氏は切り出した。
 しかし、金曜日のミュンヘンでの安全保障会議トランプ大統領に言及したとき、ペンス副大統領が遭遇したのは長い沈黙であった
 ペンス副大統領は、ドイツに赴きミュンヘン安全保障会議に出席していた。このミュンヘンの年次総会には、ナンシー・ペロシ上院議員(カリフォルニア)、リンジー・グラム上院議員(Rサウスカロライナ)、クリストファー・クーンズ上院議員(D-デラウエア)、シェルドン・ホワイトハウス上院議員(Dロードアイランド)を含む超党派代表団も加わっていた。
 副大統領は金曜日にジョン・マケイン上院議員(R-Ariz。)を記念した奨学金の最初の受領者のための授賞式で演説を行った。マケイン本人も、このミュンヘン安全保障会議に何度も出席していた。
 金曜日の発言の中で、ペンス副大統領はNATOの同盟国にショックを与えた。「それでももっとやる必要がある」と述べたためだ。
 「米国は、すべてのNATO加盟国が2%の基準を満たすための信頼できる計画を実施することを期待している。そして2024年までに、同盟国全員が防衛費の20%を調達に投資すると予想している。」
 NATO加盟国は2014年に、2024年までに国内総生産の少なくとも2%を防衛費に充てることに合意した。
 トランプ政権はNATOに対して公然と批判的であり、米国のNATOへの資金拠出は、不釣り合いなほど大きく、防衛費が少ない他の諸国をアメリカが守ることになっていると主張してきた。NATO加盟国は、それぞれの予算の中で防衛費に貢献し、NATOに資金を拠出している。
 ニューヨークタイムズ紙は先月、トランプ大統領が数度にわたって米国がNATOから撤退するのを望んだとと報じた。
 また、ペンス副大統領は、金曜日に、両国からの代表団の前で中国とロシアを非難した。
 「トランプ大統領の指導の下で、米国が明らかにしたのは、中国が、知的財産権の盗難、技術移転の強制、その他中国の経済や周辺諸国の経済に負担をかけているその他の構造的問題に対処しなければならないということだ。」と副大統領は語った。
 ペンスは後に、中距離核兵器条約から撤退するという米国の動きにも言及した。米ロ関係が弱まる中、撤退の決定は欧州の安全保障への潜在的影響と世界の戦略環境についての疑問を引き起こしている。」

Pence met with silence after mentioning Trump in Munich speech | TheHill

 「もっとやるひつようがある」といわれれば、ヨーロッパのNATO加盟国は黙るしかないでしょう。トランプ大統領が、NATOからの撤退をちらつかせるならば、欧州は欧州で独自の軍事力を維持しなければならなくなるでしょう。しかし、アメリカが欧州軍の構想にも反対するのですから、ヨーロッパ諸国に、中ロを選ぶのか、アメリカを選ぶのかの二択を迫っていると考えざるを得ません。

 ただ、ロシアとは海で隔てられている日本とは異なり、中距離核平気条約からロシアが撤退すれば、ロシアの核の直接的な脅威にさらされ、かつまた、量で優る陸上戦力に常に脅かされることになります。

 このまま行けば、ヨーロッパは絶体絶命ということになりそうですが、ロシアの国防産業が疲弊していることも考慮しておかねばなりません。ロシアの国防産業はかなりの部分がウクライナに存在していました。しかし、クリミア侵攻によりウクライナとの関係はこれ以上ないほど悪化しています。

 また、クリミア侵攻後の経済制裁で部品が全く入らなくなりました。これでは戦争などできたものではありません。

 とはいえ、ヨーロッパに万一のことが起きれば、隙を見てロシアが軍事行動を起こすことは確実です。NATO加盟国にとっては眠れない夜がつづきそうです。