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オーストラリア、再び日本製潜水艦採用を検討か

海上自衛隊「そうりゅう」型/「おやしお」型潜水艦 (新シリーズ世界の名艦)

 フランス製潜水艦の導入が決まっていたオーストラリアですが、ここにきて新たな動きがみられます。

 「豪海軍の潜水艦更新計画は、現有コリンズ級の老朽化を受け、新たに12隻の新型潜水艦を2030年代までに配備するのが柱。日仏などが受注競争を展開したが、2016年、豪州経済への波及効果などを巧みに訴えたフランス提案(仏バラクーダ級原子力潜水艦を通常動力化した新型を豪州で建造予定)を、当時のターンブル政権が採用した。

 ただその後、計画の細部を詰める「戦略的パートナーシップ協定」(SPA)の締結交渉が難航。知的財産の移管やトラブルが起きた場合の補償をめぐる対立が原因と報じられた。現有のコリンズ級はスウェーデン企業の設計に基づき豪州で建造したが、故障が多く稼働率が極めて低いことに豪海軍が苦心。こうした経緯を踏まえ、「現物」がいまだ存在しない新型に故障が発生しても迅速に修理・改良できるよう、仏が持つ技術情報などをあらかじめ開示するよう豪側が求めているものとみられる。

 もともと新型潜水艦のユーザーとなる豪海軍内部では、2009年から順調に運用実績を重ねている海上自衛隊のそうりゅう級潜水艦を輸入するのが最善との見方が根強かった。建造に際していかに豪経済に波及効果があったとしても、結果として出来上がる潜水艦がコリンズ級と同様に故障が多いものになれば、豪海軍にとっては困ったことになるからだ。ただ選定当時は、豪州の雇用充実を重視するターンブル氏が首相で、現地生産に日本よりも前向き姿勢を打ち出していた仏提案が採用された。

 その後、ターンブル首相は退陣。引き継いだ同じ自由党の現モリソン内閣で国防相を務めるパイン氏は「豪仏のSPA交渉は既に決着した」として、順調ならそう遠からず正式調印できるとの判断を示している。

 ただ、足元では国防省に近いシンクタンク、豪戦略政策研究所(ASPI)のウェブサイトなどで「(仏との)潜水艦計画は総じて失敗」「我々はプランB(代替案)を検討すべきだ」といった専門家の異論が噴出。この背景には、脅威がほとんどなかった時代はコリンズ級のような稼働率の低い潜水艦でも乗り切れたが、中国がインド洋や豪州に近い太平洋の島しょ国に援助攻勢をかけ、軍事進出の気配まである現在、完成してみないことには実際の性能が確認できない仏潜水艦よりも、既に約10年にわたり運用され改良も続いているそうりゅう級の方が安心して調達・運用できる、との豪海軍関係者の思いがある。」

豪潜水艦商戦、日本案再浮上の気配 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 正式の導入が30年代ということなので、そのままフランス案でも支障はないはずですが、その前に戦争が起きてしまってはいけないということでしょう。逆に言えば、ターンブル元首相は、中国との対決がそこまで深刻になるとは考えていなかったということになります。

 ファーウェイの娘は、正式にアメリカ当局により起訴されました。米中の貿易交渉も、大きな成果は期待できなくなっています。問題は、中国の経済で、この惨状が春節が終わった後に明らかになれば、中南海も単なる経済政策以上のことを考慮し始めるに違いありません。その時に、信頼できる潜水艦があるかどうかが、ものをいうことになります。

 翻って日本を見れば、有事のための法制度の整備どころか防衛予算も十分ではありません。これは、日本の官庁にインテリジェンスがないためだといえます。いろいろと煮詰まっているにもかかわらず、適切な手段が取れなければ、国そのものが危うくなることでしょう。