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ドイツ銀行はなぜ合併できないのか

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 なかなか黒字に転換しない銀行に、そうそう簡単に合併相手が見つかるとも思えませんが、それでも、そろそろ時間切れではないでしょうか。

  さしあたって、1月24日のユーロの下落は、ドイツ銀行の株価下落とリンクしていたと考えられます。この原因は、次のニュースが原因となっていたはずです。

「 ドイツ銀行の米国部門が不正資金の重要ルートになった可能性があると報じられる中、同行に対する米議会の厳しい監視の動きが広がりを見せている。下院金融委員会の共和党トップ、パトリック・マクヘンリー議員も民主党議員らに続き、同行のマネーロンダリング資金洗浄)対策に関して質問状を送付した。
 マクヘンリー議員は24日にドイツ銀のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡で、内部や第三者の調査により不正取引の隠ぺいが発覚した経緯について説明する文書の提供を要請した。これに先立ちドイツ銀は、同行調査で協力する下院民主党議員らから照会を受けたことを認め、下院金融委員会と下院情報特別委員会との「生産的な対話」に関与していると説明していた。米連邦準備制度理事会FRB)もデンマークのダンスケ銀行を巡る不祥事へのドイツ銀の関与を調べている。
 マクヘンリー議員は書簡で、「米国民にとって極めて重要なことは、犯罪に絡む多額の資金が国際銀行システム経由で移動することにつながった脆弱(ぜいじゃく)性に、ドイツ銀が適切に対処しつつあると確信することだ」と指摘。同行に2月7日の期限までに返答を求めた。
 ドイツ銀は24日の取材に対し、「われわれは当局の調査全てに対する適切な情報提供に引き続きコミットしている」とコメントした。」

ドイツ銀行に対する米議会の調査拡大、マネーロンダリング対策巡り - Bloomberg

 ダンスケ銀行がらみのマネロン調査は、以前にも取り上げましたが、このために株価が下落したわけです。米国の議員からの照会がすでに行われているというのは、ドイツ銀行の運命が、アメリカ政府の意向にかなりの部分握られているということを意味します。

 ここで、ドイツがアメリカと本格的に険悪な関係になれば、かなりの確率で、ドイツ銀行倒産への引き金が引かれるに違いありません。

 ここで浮かび上がるのが、ドイツ銀行はなぜ合併相手が見つからないのかということです。

 「モルガン・スタンレーのアナリスト、マグダレーナ・ストクローサ氏(ロンドン在勤)は17日のリポートで、コメルツ銀との組み合わせの方がより手っ取り早い解決策かもしれないが、「重大な実行リスク」を伴うことが予想され、国境を越えた合併の方も、欧州連合(EU)の銀行同盟のプランが「一層明確になる」必要があり、「実現には数年を要する」との見通しを示した。」

ドイツ銀の形勢逆転目指す合併、前途多難-政府とECBも意見割れる - Bloomberg

 この国境を越えた合併というのはフランスのBNPパリバを指すとみられます。いちばん可能性が高かったのがコメルツ銀行なのですが、コメルツ銀行に関してはDAXからの排除という要因もあり、十分な収益が挙げられていないという可能性大です。つまり、合併してもうまくいく保証がないということではないでしょうか。

 パリバはともかく、あとは合併先に想定されているのはスペインのサンタンデール銀行とやはり過去に信用力に問題があった銀行です。

 どこもそれぞれ問題があり、引き取り先がいないというのが真相なのではないでしょうか。それに加えて、マネロン疑惑が重しとなり、現在の株価の低迷を招いていると考えられます。

 結局、Brexit以降のヨーロッパの金融体制が明らかにならない限り、なかなか大きな動きには出にくいということなのかもしれません。

 来るべきチャイナショックは、春節の後に徐々に姿を現すことでしょう。そのショックに、ドイツ銀行が耐えられるのかどうか、かなりの見ものになりそうです。