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北朝鮮問題は絶対にHappy Endにならない。

はっぴいえんど 完全限定生産 [Analog]

 トランプ大統領は、自分ではディールの天才と考えているかもしれませんが、外交という面で考えれば、決して才能のある人物とは言えないでしょう。

  トランプ大統領の手法は実に簡単です。交渉にあたって、高い値段を吹きかけて、あとで本音の価格で交渉し、相手に恩を売るというのが基本パターンです。相手に高い値段を吹きかけてもなびかない場合、こちらから折れる。そして、自分にメリットがない相手に対しては、徹底的にこき下ろすといったところです。

 この基本パターンに当てはまらないのが、安倍首相とトランプ大統領の関係でしょう。興味深いことですが、トランプ大統領は、自分が頭が上がらないと感じている相手には、好意的に接するのです。例えば、娘のイヴァンカとトランプ大統領の間では、娘には絶対に頭が上がらないのです。ただ、日米関係の枠組みでいえば、アメリカ経済が厳しくなるにつれて、対日要求も激しいものになるでしょう。

 話を戻せば、トランプ大統領金正恩の関係は、上の二番目の様式に相当します。前回の米朝首脳会談も、問題解決をあきらめたトランプ大統領が、大甘な条件で折れて、時間稼ぎをしたというのが真相です。ですから、北朝鮮は核開発を継続させ、韓国との国境の監視ポストを撤去することで、北朝鮮による朝鮮半島統一の実現に向けて着実に成果を上げています。

 ですから、トランプ大統領がどれほど金正恩を褒め称えようと、それは北朝鮮とのディールが批判されることを封じるためであって、それ以上ではないのです。このまま進めば、北朝鮮と韓国の併合をアメリカが認め、米軍を撤退させるという方向に進まざるを得ません。

 その場合、反日的な統一朝鮮が成立するのですが、その統一朝鮮にしてもすぐに崩壊する可能性が高いのです。例えば、日経は、北朝鮮大使の亡命を報じています。

「 韓国の情報機関、国家情報院は3日の国会報告で、北朝鮮の駐イタリア大使代理のチョ・ソンギル氏が2018年11月初旬から公館を離れ、妻と身を隠していると明らかにした。複数の韓国メディアは情報筋の話として、チョ氏が第三国への亡命を希望しイタリア政府の保護下にあると報じた。北朝鮮外交官の亡命は、16年に元駐英公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏が韓国に亡命した事例がある。(以下略)」

北朝鮮外交官が亡命希望か 駐イタリア大使代理 :日本経済新聞

 結局、北朝鮮の外交官ですら、自国の将来に自信が持てないのです。核を放棄しなければ、経済制裁は解除されません。しかし、北朝鮮が核を手放さないことを知っているからこその亡命劇であったように思えます。

 本来であれば、韓国の経済力を当てにできるはずなのですが、こちらも経済は文在寅の下でひたすら疲弊するばかりです。統一朝鮮がなし崩し的に成立したとしても、経済制裁が今度は韓国側にも科されることになり、韓国は完全に行き場を失います。そこで米軍を駐留させる必要もなくなりますから、米韓の同盟関係も自然消滅ということになりそうです。

 日本や米国から呆れられた統一朝鮮は、中国がロシアと親睦を深めなければなりませんが、「親睦」というにはあまりに過酷な運命が待ち受けているように思います。韓国も北朝鮮も、自国の安全保障を非常に軽視しています。これでは、ロシアや中国に侵略してくださいと懇願しているようなものです。

 つまり、北朝鮮問題の行き着く先は、いくらか紆余曲折を経るとは行っても、朝鮮や韓国と名のつく国家のこの地上からの消滅なのです。