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サウジ支持を貫くトランプ大統領

ハプスブルク帝国、最後の皇太子 激動の20世紀欧州を生き抜いたオットー大公の生涯 (朝日選書)

 中間選挙は終わったものの、トランプ劇場は終わりません。

 「トランプ大統領は、記者のジャマル・カショギ氏の殺人事件に対する上院議員の行動にもかかわらず、サウジアラビアの皇太子であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対する支持を強めている。
 トランプ大統領は、ロイター通信とのインタビューで、サウジアラビアワシントンポストのコラムニストであったカショギ氏の殺害に責任を負っていると考えているかどうかについては言及しなかった。
 「彼はサウジアラビアのリーダーです。彼らは非常に良い味方だ」とトランプ大統領は語った。
 ロイター通信は、サウジ王国の立場を支持するということは、皇太子の立場を支持するということなのかと尋ねられると、「まあ、現時点では確かにそうだ」と大統領は付け加えた。
 CIAは、皇太子が殺人を命じた可能性が極めて高いと結論付けていると伝えられている。
 トランプ大統領は、カショギ氏殺害事件に関して、サウジ皇太子を非難し制裁するべきだという米国議員団の超党派グループからの圧力に直面している。しかし、大統領はこれを拒否した。
 同氏は、先月の声明で、カショギ氏殺害にもかかわらず、米国はサウジアラビアと「堅実な」関係を維持すると述べた。
 「いずれにしても、我々の関係はサウジアラビアの王国との関係であり、イランとの非常に重要な戦いにおいて大きな同盟国であった」とトランプ氏は当時述べた。「米国は、わが国、イスラエル、そして同地域の他のすべてのパートナーの利益を確保するために、サウジアラビアの堅実なパートナーであり続けるつもりだ」と述べた。」

Trump stands by Saudi crown prince amid Senate pressure | TheHill

 結局、カショギ氏殺人事件はなかったことにするというのがトランプ大統領の意思なのでしょう。サウジアラビアは、いずれ起きる対イラン中東戦争の上での重要な同盟国であり、武器の市場であり、世界でも有数の産油国です。この利益はどうしても手放せないということなのでしょう。

 それに対して上院が懸念するのは、イエメンの情勢です。

 イエメンでは、内戦により、現在でも総人口の約67%に相当する約2000万人が深刻な食料不足の状態にあります。医療も壊滅していると報道されています。このイエメン内戦とは、一言で言えば、サウジアラビアとイランの代理戦争です。スウェーデンで行われた和平協議にはサウジが支援する暫定政権とイランを後ろ盾とするイスラムシーア派武装組織「フーシ」の双方が参加していることからも、本当の対立がどこにあるかは明白でしょう。
 さらに、イエメン内戦ではサウジアラビアに米軍が空中給油などの軍事支援を行っています。メディアでイエメンの悲惨な状況が報道されると、米国の威信に傷がつくとアメリカの議員は気が気でならないのです。
 結論から言えば、現在のトランプ大統領の勢いには上院議員でも勝てないでしょう。ただ、アメリカに対する国際的な非難は強まる可能性があります。