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今度こそだめかもしれない断末魔のドイツ銀行

実録 世界金融危機 (日経ビジネス人文庫)

 ハンデルズブラートの無料記事は初めて目にしました。そこで報じられているドイツ銀行とドイツの捜査当局の驚きの行動とは!

  個人的な愚痴を言えば、ハンデルズブラートはほとんどが有料記事で今回のようにまるまる無料記事はめったにないんですよ。しかし、ドイツ銀行、いやドイツ経済が大きな転換点を迎えつつあるという認識からこの記事が無料で公開されたのだと思います。まあその内容を紹介しましょう。

「 ドイツ銀行にとっては恐怖の一週間であった。検察官、警察、それに調査官がフランクフルトの本店とその他の5カ所の事務所にあふれていたが、それと同時に、クリスティアン・ゼーヴィングCEOはFRB副総裁と会談を行っていた。捜査が継続しているために、ドイツ銀行の株価は、8ユーロを下回り下値を更新した。そこに、フランクフルト国家検察局とドイツ銀行の共同声明が発表されたのである。
 フランクフルト国家検察局のアルブレヒト・シュライバー次のように述べた。「事実の究明に関してドイツ銀行での捜査において、当局による調査は迅速かつ良好に行われている。」これに対してドイツ銀行は協力的である。「ドイツ銀行に対する捜査は何ら留保なく行われている」とシュライバーは述べている。
 こうした発言が当局からなされるのは、2012年の二酸化炭素排出権を巡るスキャンダルでもみられなかったことだ。とりわけ、当時のドイツ銀行のユルゲン・フィッチェンCEOは、ヘッセン州のフォルカー・ブッファー首相に捜査への苦情を述べていた。
 ドイツ銀行法務部のカール・フォン・ローアの反応は、それに比べれば落ち着いたものであった。「我々はもちろん捜査を積極的に支援し、当局と協力する所存です」と同じ記者会見で述べている。
 検察当局とドイツ銀行からのメッセージは重要である。結局のところ、今回の操作も、スキャンダルに次ぐスキャンダルにまみれていた時代の記憶を思い起こさせたのである。ドイツ銀行が検察当局に全面的に協力していることは明らかである。とはいえ、検察が検察の捜査対象と共同声明を発表するのは極めて異例なことだ。
 金曜日にドイツ銀行の株価は理由もなく下落し、8ユーロを下回り、下値を付けた。投資家は神経質になっている。捜査は年内いっぱいかかる予定で、銀行側もそれを認めている。ドイツ銀行は金曜日にさらに詳細を公表した。その中には、すでに知られているが、公式には明らかになっていなかった内容も含まれていた。役員のオフィスも操作されている。しかし、現役役員あるいは元役員は捜査対象となっていない。
 それに加えて、ドイツ銀行が明らかにしたのは、ドイツ連邦犯罪捜査記録の分析により、2018年にドイツ銀行が売却した英領バージン諸島のペーパーカンパニーが、マネーロンダリングのシステムを整えていたことが明らかになったということであった。これが、ドイツ銀行による詳細な説明であった。木曜日に捜査が開始されたときにはドイツ銀行はほとんど内容のある声明は発表していなかった。」

Deutsche Bank äußert sich zur Razzia in Frankfurt

 今回のドイツ銀行マネーロンダリングに関しては、デンマークのダンスケ銀行とともにかなり派手に行われていたことはすでに明らかです。ただ日本経済新聞によれば、今回の捜査はそれとは別件のようです。

 それでも、検察当局とドイツ銀行が共同の記者会見を行うのは、この記事にもあるようにかなり異例です。何らかの透明性を担保しなければ、ドイツ銀行はそのまま倒産してしまうという意識がドイツ銀行サイドだけでなく、ドイツ政府にも共有されているためでしょう。

 この記事で注目するのはドイツ銀行のCEOがFRB副総裁と対談しているということでしょう。これは、倒産した場合の対応策を検討している、もしくは倒産を回避する方法を検討しているのいずれか、もしくはその双方でしかありえません。悪運強かったドイツ銀行もいよいよ年貢の納め時のようです。ヨーロッパ発の金融危機は年内にも火を噴くかもしれません。