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復権を狙うサウジ皇太子

サウジ皇太子の審判 (字幕版)

 今回のG20の主要人物の一人ではありますが、「殺人を命じたもの」という容疑を交わすことはできるのでしょうか。今回は備忘録です。

 「サウジアラビアムハンマド皇太子は30日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開幕した20カ国・地域(G20)首脳会議の場でトランプ米大統領や中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席マクロン仏大統領らと相次ぎ接触・会談した。トルコでのサウジ記者殺害事件を巡って皇太子自身の関与が疑われるなか、傷ついた威信の回復を目指す構えだ。
 トランプ氏は皇太子と短時間接触した。「何かを議論したわけではない」と述べ、記者殺害事件を取り上げたか明らかにしなかった。ホワイトハウス高官によると「会議場にいた他の首脳とそうしたように、社交辞令を交わした」という。一方、ポンペオ米国務長官は同日、ブエノスアイレスでサウジのジュベイル外相と会談した。米国務省報道官によると、記者殺害事件の調査を巡って協議した。
 皇太子とマクロン氏の接触では、近距離で頭をつきあわせるようにやり取りする両者の映像がネット上に流れた。「心配しないでほしい」とかわす皇太子に対し、マクロン氏は「私は心配だ」と詰め寄った。仏政府高官によると、マクロン氏は事件の調査に国際専門家を加えるよう求める欧州の立場を訴えた。欧州からは事件を厳しく追及する声が目立つ。
 これに対し、習氏とは双方の政権幹部も交えた会談に臨んだ。中国側は「サウジアラビアが推進する経済多元化と社会改革を断固支持する」と表明。皇太子は「中国が(国際社会で)より大きな役割を果たすことを期待する」と応じた。皇太子は同日、インドのモディ首相とも会談、ロシアのプーチン大統領とは1日に会談する。(以下略)」

 プーチン大統領とはハイタッチをしていましたね。これも産油国としての誼(よしみ)なのでしょうか。トランプ大統領は、軽い会釈。これは十分によそうされたことです。現に上院では共和党も含めた皇太子を非難する勢力が勢いを増しています。下手に接触はできないということでしょう。しかし、武器の市場であり、産油国であるサウジは気軽に袖にするわけにもいかないというなかなか苦しい立場にあるといえます。

 マクロン大統領の姿勢は、アメリカよりは敵対的です。それは、フランス自身がサウジの潜在的国であるイランとの経済的結びつきがあるためとかんがえることができます。

 中でも異質なのは、中国で、弱い立場にあるサウジを何とか自陣営に引き付けようとしています。中国の国家運営にとって中東の原油は当分の間死活問題です。さらには、一帯一路で世界中の批判を浴びつつも、中東でも勢力を拡大したいという下心が透けて見えるようです。

 まあ、これで何もなければ、記者殺害の容疑はなし崩しにされるでしょう。